メッツからフリーエージェント(FA)になった先発右腕ノア・シンダーガードがエンゼルスとの契約に大筋で合意した。現地時間11月16日、複数の米メディアが報道した。
MLB移籍情報
移籍専門サイト「トレード・ルーマー」によると身体検査を経て正式合意となる見込みで、年俸は1年2100万ドル。
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— MLB Trade Rumors (@mlbtraderumors) November 16, 2021
シンダーガードにはメッツがクオリファイング・オファー(1年1840万ドル)を提示していた。
メジャー通算6年間(実質5年)で47勝31敗、防御率3.32、FIP2.93、777奪三振(K/9は9.7)。メジャー2年目の2016年は14勝9敗、防御率2.60、218奪三振の好成績を残し、自身初のオールスター・ゲーム選出された。
100マイルを超えるフォーシームを武器に三振で切り取る剛腕と金髪ロングヘア―の雄姿がアメリカン・コミックのスーパーヒーローの「Thor(ソー)」に似ていることでも人気の選手だ。
大きなリスクのある契約
ただし、2020年3月に肘の 内側側副靭帯の再建手術(トミー・ジョン手術)をうけ、今季はわずか2試合2イニングを投げただけで、かつての剛腕ぶりは誰もが認めるところだが、シビアに見ればエンゼルスは回復期の選手に2100万ドルという巨額の補強費を投資することになる。
しかも、シンダーガードはメッツからクオリファイング・オファーを提示されているため、獲得予定のエンゼルスはドラフト指名(2番目に高い順位の指名権)を譲渡し、国際ボーナスプール50万ドルを喪失する。
今回の契約は杞憂になるかもしれないが、大きなリスクを伴い、1年契約とはいえ賭けに出たことになる。
エンゼルスは先発ローテの補強が優先事項だが...
多くのチームがそうだが、この数年間、エンゼルスの補強におけるプライオリティーは先発ローテーションの強化だ。先発投手のエリートクラスで2枚は不足している。
先発投手だけではない、「なおエ」パターンを来季こそ回避するにはMLB24位だったブルペンの質と量も充実させる必要がある。
カリフォルニア州カールズバッドで開催されたGM会議でもミナシアンGMは先発投手を含む投手力の強化を公言していた。
今オフのクオリファイング・オファー(QO)は14人の選手に提示されたが、ESPNのジェフ・パッサンによるとメッツのマイケル・コンフォート外野手は、このオファーを拒否する見通しだという。
他には今季レッズに所属したニック・カステヤーノス外野手が最初にQOを拒否している。
MLB公式サイトによると9月下旬、トミー・ジョン手術のリハビリを終えて戦列復帰を果たしたシンダーガードは、QOの提示について「(提示してもらえるなら)非常にありがたいことであり、僕が期待していることでもある」と話していた。
今回のエンゼルスのオファーはそれをも上回る金額だ。シンダーガードにとってはリハビリしながらバウンスバックにかける1年にエンゼルスが2100万ドルも出してくれるというのだから渡りに船だったに違いない。