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【MLB移籍情報】ムーキー・ベッツ放出の背景にあるものとは?

 

衝撃を受けたレッドソックスムーキー・ベッツ外野手の移籍報道。20年シーズン終了後にフリーエージェント(FA)になるベッツをレッドソックスが放出するかもしれないのだ。

 

 

 

 

レッドソックスはトレード交渉に応じる構えだというが、そうなれば間違いなくこのオフの注目選手になる。

 

それは、複数の選手が絡む大型トレードに発展することが予想され、そう簡単には成立せずに、場合によっては20年夏のトレードデッドラインまでもつれ込むことも考えられる。

 

 

なぜベッツをたばなすのか?その背景にあるものは

 

昨年のア・リーグMVPでありフランチャイズの顔のような存在のベッツをなぜ放出するのか?

 

MLB Networkのジョン・ポール・モロシによるとベッツが契約延長交渉を以前に拒否したことを理由として挙げている。ベッツは2017年シーズン終了後にレッドソックスが提示した8年2億ドルという長期の契約延長オファーを拒否している。

 

それは2018年から19年にかけてのトラウト、ハーパー、マチャドといった巨額の契約で決定的になったのかもしれない。

 

ベッツの成績やプライドから考えても2億ドル程度なら首を縦に振らなかったのは正解だった。ベッツの代理人を含む周辺が騒がしくなるのはわかる気がする。

 

ベッツは今季も打率.285、21本塁打、65打点、12盗塁、出塁率.390、長打率.504、OPS.895。rWARで5.0という高い数値を残している。そのため自身の評価を知るためにFA市場で価値を知りたくなるのは当然のことかもしれない。

 

考えられる要因として、レッドソックスのファーム層の薄さが考えられる。野球専門の米シンクタンク「ベースボール・プロスペクタス(BP)」やMLB公式サイトのランキング、さらに野球専門のデータサイト「ファングラフス(FG)」のランキングでも100位以内にマイケル・チャビス内野手がランクインしているだけだ。

 

レッドソックスはファーム層が薄い。これでは次の内部育成ができない。

 

とくに先発投手を中心に若手の投手が育っていない。また、ブルペン防御率でMLB14位。クローザーが不在で上原や田澤が在籍していた頃のような安定感がない。このため、ベッツを放出する対価として複数のプロスペクトを要求することは十分に考えられる。

 

次に考えられるのは、ペイロールの圧縮だろう。

 

レッドソックスの年俸総額は約2億4050万ドルで「ぜいたく税」(Competitive Balance Tax)の上限額1億9700万ドルをはるかに上回る額でレッドソックスナショナルズが今季は「ぜいたく税」を支払った。

 

ドジャースヤンキースジャイアンツ、タイガースが回避することに成功したようにレッドソックスもリセットしたいのだろう。

 

この追徴税のようなシステムは連続で超えると税率が年々アップしていくからだ。ちなみにヤンキースは15年連続で超過してトータルで3億4100万ドル(約350億円)を払ってきたが、昨年リセットに成功した。

 

ベッツとは今季2000万ドルの契約だが、20年は年俸調停の最終年でロッキーズノーラン・アレナド(2600万ドル)を超える2600万から3000万ドルぐらいの額が予想される。

 

 

20年に確定しているレッドソックスのペイロール

 

  • デビット・プライス 3200万ドル
  • クリス・セール 3000万ドル
  • JDマルティネス 2375万ドル
  • ザンダー・ボガーツ 2000万ドル
  • ネイサン・イバルディ 1700万ドル
  • ダスティン・ペドロイア 1312万5,000ドル

 

リック・ポーセロや数人がFAになり約3000万ドルが軽くなるが、その分、戦力バランスを考えると右腕のいない先発陣に不安も残る。

 

レッドソックスには「ぜいたく税」の対象外とはいえ7年総額7250万ドルで契約したキューバ出身のルスネイ・カスティーヨ外野手の約1400万ドルやパブロ・サンドバル内野手の500万ドルなどの不良債権が2020年も残っている。

 

ダスティン・ペドロイア内野手の20年1312万5,000ドル、21年1212万5,000ドルも36歳で60日間の故障者リストに入っている現状から考えても不良債権化する可能性もある。

 

こうした薄いのファーム層の充実や「ぜいたく税」の軽減対策などが絡んで、ムーキー・ベッツのトレード案が持ち上がったと考えるのが大方の見方だ。

 

いずれにせよベッツの去就が、このオフの話題に一つになりそうだ。

 

 

 

 

◇記事参考

 

www.nbcsports.com