レッドソックス、ドジャース、ツインズが絡む“メガディール”が破談になる可能性が高まってきた。
MLBトレード情報
ツインズの地元紙「ミネアポリス・スター・トリビューン」のクリス・ミラーが、ツインズが今回のトレードから撤退。ツインズの若手有望株ブルスダル・グラテロル投手が、チームに残留する可能性が高まったことを今回のトレードに関与した2人の関係者から得た情報として報告している。
The #mntwins are pulling out of the megadeal and will keep Brusdar Graterol, reports @LaVelleNeal https://t.co/RAQFWw0tWv pic.twitter.com/d8Mk3F1lX9
— Chris Miller (@Cmillstrib) February 8, 2020
これによりグラテロル投手の交換要員となっていた前田健太もドジャース残留の可能性がでてきたという。
レッドソックスのペイロール圧縮計画によるムーキー・ベッツ、デービット・プライスを中心としたレッドソックス、ドジャース、ツインズによる三角トレードだったが、このトレードはスムーズには行われていないことを「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタールが指摘していた。
このトレードでは、ベッツ、プライスの交換パッケージとしてドジャースからレッドソックスへアレックス・ベルドゥーゴ外野手とブルスダル・グラテロル投手が移籍する予定だった。もちろん、レッドソックスは、プライスの高額の契約金(残り3年9600万ドル)を一部負担することもこのトレードには盛り込まれていた。
さらに、トレードの前段階では、ドジャースの前田健太がツインズにトレードされ、その交換要員のブルスダル・グラテロル投手がレッドソックスにトレードされるというツインズも含めた三角トレードに発展していた。
Why the three-team Mookie Betts trade is not yet complete: https://t.co/ZtX8TdUGJ7 #MNTwins #RedSox #Dodgers
— Ken Rosenthal (@Ken_Rosenthal) February 6, 2020
このブログでも紹介したが、ケン・ローゼンタールは、ブルスダル・グラテロル投手のメディカル・レコード(診療歴)に問題があり、このトレードに関する追加措置がある可能性を指摘していた。
プレイヤーのフィジカルチェックは取引を完了するための最後のステップだが、体の一部(たとえば肘や膝など)に爆弾を抱えた選手は直前に契約が取り消されるケースもある。
マリナーズで活躍した岩隈久志も15年12月に「フィジカルチェックの結果、健康上の理由があった」(MLB公式サイトの記事)としてドジャースとの3年総額4500万ドルの契約が破談になっている。(その後、マリナーズと契約)
ベネズエラ出身のグラテロル投手は平均球速99マイル、最速102マイルに達する速球が魅力。プロスペクトランキングでもMLB全体トップ100で83位にランクされている。昨季はマイナー3階級合計で18試合(うち11先発)に登板して7勝0敗1セーブ、防御率1.92の好成績をマークした。
98年8月26日生まれの21歳だが、16年にトミー・ジョン手術を受けてシーズンを全休した故障歴がある。若い時期の手術なので30歳を過ぎてからのそれとは違い大きくパフォーマンスを落とすことはないが、80イニング以上を投げたシーズンが1度しかなくレッドソックスの「将来、先発でも使える投手」という要求を満たしていなかった。
ベッツ、プライスという実績あるビッグネームを放出するだけに、レッドソックスは、チーム内ランキングで「10位以内の有望株」をもう1人要求。それをツインズが受け入れなかった模様で、結果として前田のトレードが宙に浮いた形になった。
大きく報道された以上、名前の挙がっている選手のメンタル面も考慮すると、当然ながらレッドソックスとドジャース間では、このトレードを成立させたいという方向で進んでおり、他のチームを巻き込んだトレードの可能性も噂されている。
ドジャースがグラテロルに代わる若手有望株を用意するか、レッドソックスがプライスの残り契約の金銭負担を調整する形で解決が図られるとMLB公式サイトでは報道しているが、球団の総年俸を削減したいレッドソックスとドジャースの駆け引きが面白くなってきた。
スプリングトレーニングを直前に控え、落としどころは、人的補償か金銭負担か、それともドラフト指名権の譲渡、インターナショナル・ボーナスプールのやりとりなども考えられるが、この“メガディール”の成り行きに注目したい。