もうすぐメジャーリーグではルール4ドラフト (Rule 4 Draft) とも呼ばれている高校、大学、独立リーグなどのアマチュア野球選手を対象にした新人選手選択会議が開催される。
MLBドラフト2019
6月第1週の会議を前に昨年1巡指名(全体8位)でアトランタ・ブレーブスから指名を受けた19歳の投手カーター・スチュワート(東フロリダ州立短大)が日本のNPB福岡ソフトバンク・ホークスと契約したことは衝撃だった。
日刊スポーツの記事では、代理人のスコット・ボラス氏の米ロサンゼルスにある事務所で30日(日本時間31日)に会見を行い、来日して6月3日に福岡市内で入団会見に臨むということだ。
ポスティング制度などでNPBのスター選手たちがMLBに流出して20年ほど経つが、NPBの球団が本場アメリカのプロスペクト予備軍をスカウトする時代になったことは感慨深い。
さすがの敏腕代理人スコット・ボラス氏とも言える戦術(契約)だが、劣悪とも報じれれる待遇のマイナーリーグを経験することなくスチュワート投手を契約満了後に25歳でメジャー入りさせる考えだという。
これまで何人もの選手が(とくに投手)がNPBで技術を磨きメジャーで花を咲かせていることを考えれば、推定6年700万ドル(約7億7000万円)の契約は納得できるレベルかもしれない。(その後の情報で出来高込み1200万ドル以上という情報もあり)
ニューヨークを拠点に取材活動を続けるスポーツジャーナリスト、水次祥子氏のレポートを読むとこの契約の背後にあるメジャーリーグのマイナー事情がよくわかる。
米ドラ1日本球界入り、本国に好意的な声が多い理由 https://t.co/A9I5PkEVGe @nikkansportsさんから
— メジャーリーグ物語@ウエダスポーツ (@buffaloueda) 2019年5月29日
ところで、スチュワートの場合は1巡指名でも全体8位だったが、全体1位の選手たちのその後はどうなったのか?
興味があったので調べると、さすがに「ドラ1様」という看板が輝くチームの主力選手もいるが、そうでない選手もいて悲喜こもごもだ。
▼過去10年のドラフト全体1位指名選手と所属チーム
2018年 ケイシー・マイズ(デトロイト・タイガース傘下2A)
2017年 ロイス・ルイス (ミネソタ・ツインズ傘下1Aアドバンスド)
2016年 ミッキー・モニアック(フィラデルフィア・フィリーズ傘下1Aアドバンスド)
2015年 ダンズビー・スワンソン(アトランタ・ブレーブス)
2014年 ブレイディ・エイケン(クリーブランド・インディアンズ傘下1A)
2013年 マーク・アペル(フィラデルフィア・フィリーズ18年2月引退)
2012年 カルロス・コレア(ヒューストン・アストロズ)
2011年 ゲリット・コール(ヒューストン・アストロズ)
2010年 ブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)
2009年 スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)
マーク・アペルは13年のドラフト1巡目(全体1位)でヒューストン・アストロズから指名された。同期にはクリス・ブライアント(カブス)やアーロン・ジャッジ(ヤンキース)がすでにチームの主軸として活躍しているが、アベルは昨年2月に球界から身を引いた。
14年全体1位のブレイディ・エイケン(彼もアストロズ)も苦戦している。左腕エイケンは、契約寸前のメディカルチェックで肘に損傷の気配が認められたため、条件面で折り合わず破談に。全体1位指名での契約拒否はドラフト史上3人目の珍事だった。
その後、15年のドラフトでクリーブランド・インディアンズから1巡目(全体17位)指名されたが、その年の8月に左肘にメスを入れた。その結果、かつては97マイル出ていた球速が蘇らず、今季も傘下マイナーのLow-Aクラス「レイクカントリー・キャプテンズ」でくすぶっている。
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