佐々木朗希が歴史に残る偉業
10日のオリックス戦(ZOZOマリンスタジアム)で、ロッテの佐々木朗希投手は1回2死から5回まで日本新記録の13者連続奪三振をマークするなど計19奪三振の日本タイ記録をマーク。NPBで28年ぶりの完全試合を達成した。
20歳5カ月での完全試合達成は史上最年少だ。
NPB史上28年ぶりの完全試合達成!#佐々木朗希 投手、NPBタイ記録に並ぶ1試合19奪三振で締める!#chibalotte #MarinesBaseball #BLACKBLACK #MarinesGoodPitch pic.twitter.com/kF4GT4lR6M
— 千葉ロッテマリーンズ (@chibalotte) April 10, 2022
メジャーも注目の偉業
メジャーリーグ公式サイトは「日本の天才投手が19奪三振パーフェクトゲーム」という見出しで特集記事を掲載。10日付のESPN(Web版)は、佐々木の投球について「コンスタントに100マイルを出すフォーシームに加え衝撃的なフォーク。105球で完全試合を達成した」と紹介した。
Sasaki, 20, tosses 19-K perfect game in Japan https://t.co/iCpbYoEbSs
— ウエダスポーツ #17 🇯🇵🇺🇸 (@buffaloueda) April 11, 2022
ダルビッシュも太鼓判
その歴史的な快投をパドレスのエース、ダルビッシュ有も自身のツイッターで「今日の状態だとメジャーに来ても同じようなピッチングが出来ていると思います。」と讃えている。
佐々木はプロ3年目の20歳。ロッテにとっても日本球界にとっても宝のような右腕だ。
メジャーのスカウトからも高く評価されており、その中には「甲子園」での「登板イニング数の少なさ」を評価する細かい分析もあるほどだ。
メジャーに渡米してからの稼働を考えてのスカウンティングということだろう。日本球界での「投げすぎ」による肘の状態を考慮してのことだ。
当然かもしれないがメジャー各球団のスカウトたちはメジャーに移籍するとの前提でスカウティングを始めている。
MLBの25歳ルール
先の早い話だが、メジャーリーグには「25歳ルール」があって、CBA(包括的労使協定)の中に国際FAで海外選手獲得に伴う契約金制限の適用年齢が、2016年以前は23歳未満だったが、2016年12月に25歳未満に引き上げられた。
この国際FAについては今後、ルールが変わることも考えられるが、MLB側から「ポスティングシステムを使っての移籍でもCBAは適用される」との回答もあり、そのルールのもとで大谷翔平の場合もポスティングシステムを使ってのメジャー移籍はできなかった。
それまでの松坂大輔や田中将大のような大型契約は結べなかった。
もともと大谷の場合はプロ野球よりメジャーリーグの方が頭にあったので、日本ハムは大谷のメジャー挑戦を後押しして大谷は25歳になる前の24歳で契約。
2017年12月にロサンゼルス・エンゼルスとの合意がメディアで報じられた。代理人はネズ・バレロ氏だった。
早めに移籍してメジャーリーグに慣れていきたいという考えもあったのだろう。もともとメジャーで勝負したいと考えていたならそのほうが良い。
佐々木の場合はどうなるのか?
佐々木が渡米を25歳になるまで待つとすれば今季の鈴木誠也のようにポスティングシステムを利用して大型契約も可能だろう。
その場合はロッテ球団にも契約金に応じたそれなりの譲渡金が入る。鈴木の場合を例にとると広島には1462万5000ドル(約17億円)が支払われることになっている。
ただし、2023年開催予定のWBCなどで活躍して本人が早くメジャー移籍を希望することも考えられる。
その場合、佐々木は現時点で20歳なので、仮に3年後の2025年オフに移籍したいと考えても25歳以下でメジャーの「25歳ルール」に抵触して扱いは「国際FA」、もしくは「国際ドラフト」の対象選手になる。
国際ドラフトとは?!
「国際ドラフト」とは、(正式には決まっていないが)米国、カナダ、米自治領であるプエルトリコ以外の国のアマチュア選手を対象にしたドラフトだ。
これまで各球団が国際FAとして獲得していた選手をドラフト形式で指名していくもので、MLB公式サイトのカストロビンス記者は、30球団20巡と戦力均衡ラウンドで合計600人以上の選手が指名されるというMLB側の提案を紹介していた。
2022年7月25日までに「国際ドラフト」に同意することと引き換えに、MLBはフリーエージェントの適格なオファーシステム(ドラフトピックの直接報酬)を廃止することにした。
ドラフトで指名された選手にも契約金が保証される。ただし、全体1位の契約金は525万ドルに決められている。
国際FA市場のトップ600選手が受け取る契約金は、これまでの総額1億6390万ドルだったのに対し、機構側の国際ドラフト案では1億7250万ドルに増えたということだった。
国際ドラフトでも従来通り16歳未満の選手を獲得することはできないというルールは維持される。
この「国際ドラフト」の正式合意は7月後半まで先延ばしにされた。
MLB側は、アマチュア選手(とくにキューバや南米ラテン系)に対する高騰する入団金を抑えたいことや(日本人選手ではない)非公式な代理人に契約金の一部が流れていることなどを抑制する狙いもあるようだ。
国際FAや国際ドラフトなどは制度が複雑で数年後に佐々木朗希を含む日本人選手にどう影響してくるのか、注目していく必要はありそうだ。
▽記事参考/引用