ここでも速報で紹介したが、ESPNの記者ジェイソン・スターク氏によると、ノン・ウエーバー・トレード・デッドラインとなる現地7月31日に15件、前日の30日の成立が7件で、最後の2日間で合計22件、最後の1週間全体では36件のトレードが成立しているという。
フラッグディール・トレード情報
この夏のトレード市場の勝者は?
MLB公式サイトによると、トレード期限最終日に18件のトレードが成立としているが、いずれにせよ、現地7月18日に成立したマニー・マチャドのトレード以降に45件のトレードが成立したということだ。
ナ・リーグ所属球団の積極的な補強が目を引いたが、果たしてどの球団が争奪戦に勝利し、勝負のかかった8月、9月から10月のポストシーズンに向けて補強に成功したのか、「2018年夏のトレード市場での勝者」を見ていきたい。
MLB公式サイトのリチャード・ジャスティス氏が選んだ球団は下記だが、個人的な見解を含めて紹介する。
1. ヤンキース
《獲得》
ザック・ブリットン(RP)
J.A.ハップ(SP)
ランス・リン(SP)
ルーク・ボイト(1B)
ア・リーグNO.1のブルペンは、ブリットンの加入で、額面通り活躍すれば強固なものになった。
先発陣も開幕当初は、レッドソックスやインディアンスに比べて見劣りしたが、フェンウェイパークで好投してきた実績があるハップとカージナルス時代にポストシーズンの経験豊富なリンを追加した事で厚みが増した。
ポストシーズンでは4回、5回から始まる早めの継投パターンが多いが、近年ヤンキースほどに備えができているチームは記憶にないと評価している。
2. ブレーブス
《獲得》
アダム・デュバル(OF)
ジョニー・ベンターズ(RP)
ブラッド・ブラック(RP)
ダレン・オデイ(RP)
ケビン・ゴーズマン(SP)
投手を5人、野手を1人獲得したが、アレックス・アンソポロスGMは、チーム内のトップ10プロスペクトは温存して、トップ30から2選手を失っただけだった。中長期的な視野に立って球団の戦略上、重要なファーム層を残したことは大きいだろう。
3. パイレーツ
《獲得》
クリス・アーチャー(SP)
キーオン・ケラ(RP)
ニール・ハンティントンGMが、クリス・アーチャーを獲得したインパクトは大きく、シーズンを諦めていない姿勢をクラブハウスに明確に伝えるトレードだった。
ただ、オースティン・メドウズ外野手、タイラー・グラスノー投手という、かつてのトッププロスペクトを失うという大きな代償を支払った事は、マイナスポイントかもしれない。
4. フィリーズ
《獲得》
ウィルソン・ラモス(C)
アーロン・ループ(RP)
アズドルバル・カブレラ(IF)
多くの問題を抱えながらも7月のほぼ1ヶ月間、地区首位を守った。ブレーブスと同様に中長期的に重要なファーム層に手をつけることなく、メジャーの戦力アップを試みた。
その結果、マット・クレンタックGMはオールスターの先発捕手を含む、即戦力の3選手を獲得した。
5. ダイヤモンドバックス
《獲得》
ジェイク・ディークマン(RP)
ブラッド・ジーグラー(RP)
マット・アンドリース(SP/RP)
ブルペン陣は、アーチー・ブラッドリー、平野佳寿、ブラッド・ボックスバーガーらが踏ん張っているが、疲れのでる夏場に、下手投げのジーグラーと左腕ディークマンを獲得した事は理にかなった補強だ。
リチャード・ジャスティス氏の記事では、マイク・ムスターカス(3B)、ジョナサン・スクープ(2B)、ホアキム・ソリア(RP)を獲得したブルワーズにも触れている。
ブルワーズは、緊急課題だった先発投手を獲得できず、二塁と三塁で選手が混み合うことにもあり、今後の起用方法においての課題が残るとしている。
ザック・デューク(RP)、アダム・ウォーレン(RP)、サム・トゥイバイララ(RP)というリリーフ投手3人とキャメロン・メイビン(OF)を獲得したマリナーズについても、過剰な負荷がかかり続けているブルペンのアップグレードに成功したと評価している。
この夏は、先発投手に人材が乏しく、質の低い先発投手に、プロスペクトを出すという代償を避け、リリーフ陣を強化するトレードが目立った。
しかし、MLBでは8月以降もトレードが可能で、ウェーバーを経ることで移籍でき、ポストシーズンでの登録が可能。昨年も8月31日に、剛腕ジャスティン・バーランダーがアストロズにトレードしている。
▽記事参考/引用