レンジャーズのダルビッシュ有(29)がトミージョン手術(側副じん帯再建手術、以下TJ手術)からちょうど1年となる17日、自身のインスタグラムに投球フォームを映した動画を投稿、順調な回復ぶりをアピールしている。
ダルビッシュは昨年3月17日に、米フロリダ州の病院でTJ手術を受けた。
メジャー通のスポーツジャーナリスト福島良一さんによれば、過去5年間でTJ手術を行なったピッチャーは、メジャー全体で151人。年平均で約30人。多いのか少ないのかわからない数字だが、各球団で1年に一人は手術をしている計算になる。
一般的にTJ手術を受けた投手は、復帰まで12~14カ月を要すると言われている。年齢が若いほうが成功率も高いというのは以前にも紹介した。
たとえば日本人投手を見ると、主なところで
松坂大輔(当時レッドソックス)は2011年6月、30歳の時に手術。
カブス時代の藤川球児が2013年6月、32歳で手術を受けた。
しかし、上の3人は、30歳を超えて手術、だからという訳ではないが実力を発揮できないまま日本球界に戻った。
手術後、メジャーに復帰した投手もいる。レッドソックスの田澤純一は、2010年4月、23歳で手術。現在もメジャーのマウンドにいる。
そう言えば、イチロー所属のマーリンズのホセ・フェルナンデスも2014年5月に21歳でTJ手術を受け、15年7月3日のSFジャイアンツ戦で復帰している。
復帰後は、11試合に先発して防御率2.92、、64.2イニングで79三振を奪い、奪三振率は10.99をマークしている。ちなみに田中将大の奪三振率は8.12、シャーザーが10.86、カーショーは11.64だからフェルナンデスの球威がわかる。
単に年齢だけではないことは百も承知だが、田澤とフェルナンデスは20代前半で手術して成功した例と言える。
M.ハービーは18カ月の復帰プランを選んだ
20代前半や後半、30代といった施術の年齢だけではなく、余裕を持ったリハビリで昨年復帰した例もある。今季、メッツの開幕投手に指名されたマット・ハービーだ。
ハービーは、2013年10月、24歳でTJ手術を受けた。その後、通常(12~14カ月)よりも長い、18カ月のブランクを経てマウンドに戻った。
ハービーの場合、シーズン終了直後に手術を受けたため、14年を完全なリハビリ期間に設定し、焦ることなく、18カ月後の開幕をターゲットに復帰プランを進めた。
15年4月9日の開幕第3戦が、彼の復帰初戦になったが、初回、いきなり時速97マイル(約156km)をマークし周囲を驚かせた。その後、5月8日に初黒星を喫するまで開幕5連勝を飾った。
ハービーは、15年シーズン13勝8敗、防御率2.71。レギュラーシーズンで自己最多となる189.1イニングを投げ、さらにポストシーズンでも4試合に登板して26.2イニングを投げた。その結果、ナ・リーグのカムバック賞を受賞した。
37歳のジョン・ラッキー(カブス)は、2011年11月、33歳の時にメスを入れたが、ハービーのように次のシーズンは全休して17カ月後の13年開幕に照準を合わせたという。
その結果(TJ手術から)、復帰後、13年に29試合(10勝13敗)、14年31試合(14勝10敗、2球団)、15年33試合(13勝10敗)に登板している。
チーム事情にもよるが、ダルビッシュも出来ればオールスター後、8月ぐらいからにした方が完璧かもしれない。
そう言えば、カージナルスのウェインライトもTJ手術から復帰した時には、開幕からの7登板の防御率は6.16と絶不調だった。こちらも移植した部分が馴染むまで、あまり期待せず長い目で見てやりたい。
常にポジティブで、自分の意見を主張するダルビッシュは、見ていて気持ちがいい選手の一人。同じ大阪人で隣町出身だから、野茂英雄の時もそうだったが、今季もたっぷりと応援したい。