動きの遅かった今オフのストーブリーグ。ボルチモア・オリオールズからFAで、かつて中日ドラゴンズでも活躍したチェン・ウェイン投手が、かねてより報道されていたマイアミ・マーリンズとの契約に合意した。
MLB移籍情報
MLBの公式サイトなどによれば契約は、5年8000万ドルで、契約2年目終了時でのオプトアウト(契約破棄)と6年目のオプションが含まれているという。オプションも含めた総額では9600万ドルに達すると報じている。
チェンは、オリオールズ時代の4年間を上回る年俸を最初の2年間で手にする契約内容だが、トレード拒否権はなく、額面通りの成績を出さなかった場合は、チームの事情で、いつでも交換要員としてリリースされてしまう事になる。
Marlins' five-year deal with Wei-Yin Chen good but likely short-term https://t.co/mPdkYAT8Qa via @cbssports pic.twitter.com/ZEVgJm8WOf
— CBS Sports MLB (@CBSSportsMLB) 2016, 1月 12
1月4日の記事でも紹介したが、マーリンズの投手陣は昨季、クローザーのシーシェク(現マリナーズ)が不調で早々と放出。その後を継いだA.J.ラモスが32セーブを挙げる数字を残した。
ブルペンにはブライアン・モリス(67試合、3.14ERA)、カーター・キャップス(31試合、1.16ERA)、マイク・ダン(72試合、4.50ERA)。さらに、FAで14年目の右腕エドウィン・ジャクソン(47試合、3.07ERA)を獲得。完全ではないが、そこそこ実績のある選手が揃っている。
しかし、先発ローテーションは、どう見てもコマ不足だった。
エース格のフェルナンデスといっても実績をあげたのはTJ手術前の1年ぐらい。シーズン200イニングも経験していないし、代理人はスコット・ボラス氏で術後2年目のフェルナンデスの起用に口をはさみかねない。
2番手は5年目29歳のトム・コーラー(32試合、11勝14敗、4.08ERA)。彼はイニングイーターとして使えそうだが、なんとか計算できるのは、その2人ぐらいだった。
14年にヒューストンからトレードで途中移籍の若手25歳のジャレット・コザートは、野球関連賭博の証拠は見つからなかったものの、違法な賭博に関わったとして罰金を科せられ14試合の先発で2勝5敗に終わった。
他に25歳左腕アダム・コンリー(15試合4勝1敗、3.76ERA)、24歳左腕ジャスティン・ニコリーノ(12試合、5勝4敗、4.01ERA)と何とも心細いローテーションで、オールスター経験もあるエドウィン・ジャクソンを先発に回しても昨年71勝91敗のチームは浮上しそうな要素が見つからなかった。
同地区には、メッツやナショナルズといったリーグ屈指の強豪がいる中で、今季もイチローの話題だけしか残らないような戦力だ。金儲けのことしか頭にない評判の悪いオーナーが、素早くイチローと契約を結んだのもわかる気がする。
今回の大型契約は、そうした事情が絡んでのことだと思われるが、いずれにしてもチェンの加入は、貴重な実績ある左腕の獲得になり、先発ローテーションは多少アップグレードした。
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