MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

メジャー恒例、田澤純一ら156選手が年俸調停の申請

 

 

MLBは12日、15年シーズンのサイ・ヤング賞投手ジェーク・アリエッタ(カブス)とダラス・カイケル(アストロズ)、ボストン・レッドソックス田澤純一投手など、156選手が年俸調停の申請を行った。

 

「日本のプロ野球と比べると、MLBストーブリーグもはるかに面白い」といった内容の記事を以前に読んだことがあるが、それは、こうした調停制度があるからで、悲喜こもごもの年棒調停が行われてきた。

 

MLBが年俸調停制度を採用したのは1973年。FA制度が確率される以前に調停制度が先にできた。

 

もともと、選手の保有権を独占する球団が年俸を不当に低く押さえることがないように、大リーグ歴3年(出場試合数によっては2年)を経た選手に、第三者による年俸調停を受ける資格を与えるようにした。

 

「調停」とは言っても、調停員が球団の提示額と選手の要求額の妥協点を探って「中間の額」を裁定するという制度ではなく、球団の提示額と選手の要求額と、どちらの言い分に分があるかという「勝ち負け」を決める仕組みとなっている。

 

年俸調停制度が、「勝ち負け」の裁定という、選手にとっても球団にとってもリスクが大きい制度としてデザインされているのは、調停に持ち込む前に双方が妥協することを奨励しているからともいわれている。

 

いずれにしてもこの制度によって、一部のスター選手以外にも多くの選手が年棒アップの機会を与えられ、選手目線で見れば年俸水準のアップに貢献してきた制度と言える。

 

話が横道にそれたが、今季の申請者の中には、昨季ア・リーグMVPに輝いたトロント・ブルージェイズのジョシュ・ドナルドソン三塁手、投手では、ホセ・フェルナンデスマーリンズ)、アロルディス・チャップマンヤンキース)、野手ではマニー・マチャド(オリオールズ)、マイク・ムスターカス(ロイヤルズ)、ディー・ゴードン(マーリンズ)らも申請者に名を連ねている。

 

ちなみに田澤は、昨年も申請したが、その後、1年225万ドル(約2億7000万円)で合意。年俸調停を回避していた。今季も田澤の年俸アップは確実で、330万ドル(約3億9000万円)になるという予想もある。田澤の貢献度からすれば、それでも安いような気がするが、今後、選手は球団と希望する年俸額を提示し合い、交渉を行う。

 

合意に達しない場合は、第三者による公聴会でそれぞれの提示額のどちらが妥当かを判断され、今シーズンの年俸が決まる。