大物代理人ボラス氏の主張が物議
MLBでは今季、久しぶりにNYをホームとする2チームが10月のポストシーズンに進出する可能性があります。その2チームに関連するニュースです。
2006年松坂大輔とボストン・レッドソックスと5200万ドル(6年契約)の大型契約を成立させるなどメジャーリーグの代理人として有名なスコット・ボラス氏が4日、「右肘手術から復帰1年目のハービーは今季180イニング以上投げるべきではない。これは執刀医の意見だ」と主張したことが物議を呼んでいます。
ナ・リーグ東地区の首位を走るメッツ。9年ぶりのポストシーズン進出の可能性が期待されていますが、現在、トミー・ジョン手術明けのマット・ハービーを、ここから先どれだけ起用させるかが大きな話題になっています。今季12勝している先発右腕、マット・ハービー(26)の“イニング制限騒動”です。
専門サイトによれば、実は、同様な事例が3年前にもあったという。
ナショナルズは開幕前に、やはりトミー・ジョン手術明けのスティーブン・ストラスバーグに関し、「今季は160回を上限とする」と宣言。
実際、同チームはシーズン首位を走ったが、ポストシーズンを控えてストラスバーグの投球回数が、ほぼリミットに達した9月上旬にあっさり彼をシーズン終了とさせました。
実は、これも代理人ボラス氏がナショナルズを動かしての措置だったことが、その後明らかになっています。代理人としては、故障再発により、手持ちの「商品」の価値が減じることを避けたかったのでしょう。
ハービーは、メッツが2010年のドラフト1巡で指名(全体7位)。13年から先発ローテに定着して9勝しましたが、同年オフにトミー・ジョン手術(靱帯再建術)を受けています。
1年のリハビリ後、今季はスリークオーターから繰り出す最速100マイル(161キロ)が復活。鋭く曲がるスライダーとチェンジアップで12勝を挙げています。
ただ、すでに166イニング以上を投げて、ボラス氏の主張を受け入れると、投げられるのはあと2試合程度。チームがポストシーズンに進出しても登板できない事態になっています。
ボラス氏の主張にメッツのサンディ・アルダーソンGMが反発。「彼はシーズン190イニングまで大丈夫でポストシーズンに投げることも可能だと思っている」と反論。
ハービーは「医師と代理人の言葉を大切にしたい」と言ったため、地元メディアは「ハービーはわがままだ」と報じました。
結局、メッツの主将、デビッド・ライト内野手がハービーを説得。アルダーソンGMもハービーに負担をかけない折衷案を提示し、ハービーは「プレーオフでも投げます」と宣言したが、実際にマウンドに上がるかどうかは予断を許さない状況です。
投手の健康問題では同じ問題を抱えているヤンキース
もう一つのNYをホームとするチーム、田中将大所属のヤンキースも同じような問題を抱えています。
すでに紹介しました今季14勝3敗でローテーションの柱だった右腕ネーサン・イオバルディ投手(25)が7日、右肘の炎症で少なくとも2週間戦列を離れることが明らかになり、ヤンキース先発投手陣に余裕はありません。
メッツの“イニング制限騒動”があって、ニューヨークのメディアは、9月に入ってヤンキースのジラルディ監督に対し、改めて田中の終盤の起用法について質問を集中しています。
気になるところですが、ジラルディ監督は「本当にタフな問題だ。先発投手というのはそんなに簡単に代替がきくものでない。これまで以上に慎重に、注意深く様子を見ながら起用するしかない」とコメントしています。
もうすぐア・リーグ東地区の首位決戦、ヤンキース対ブルージェイズの決戦がスタート(初戦は降雨で中止)します。復帰のサバシアのパフォーマンスも影響するとは思いますが、故障が気になるピネダや田中将大の起用法など指揮官の采配にも注目したいですね。