MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

田中将大の挑戦。球種の変化を見れば進化中の田中が見えてくる

野球専門サイトの中には、ヤンキース田中将大の今季オープン戦のスタッツに物足りなさを指摘している記事がありましたが、数字だけ見れば鳴り物入りMLBに移籍した昨年に比べて確かに物足りないものがあります。

 

  1. 14年春は21回、防御率2.14、26奪三振
  2. 15年春は14回2/3、防御率3.07、13奪三振

 

最終登板でも4回1/3を投げて7安打。92マイルの球速が1球、91マイル2球、90マイル7球。平均92.74マイルだった昨年の球速からすれば確かに物足りないものはあります。

 

 

新たな取り組み2シーム

 

これは以前に紹介しましたが、上のようなスタッツには理由があります。

 

試合後、MLB.comの記者ブライアン・ホックがその投球内容に対して4シームとスプリット(フォーク)の投球スタイルから2シームの向上に取り組んでいることに注目しています。

 

 

BrooksBaseball.netによれば昨シーズンの田中は、平均速度92.74マイルの4シーム(ストレート)を426球(21.34%)投げました。これに対して平均91.44マイルの2シームは389球(19.49%)。

 

この春は球速88マイルから90マイルのボールが多く。それは、2シームの向上に取り組んでいるからだという。打たれた球は4シームが多かったという昨年のデータを踏まえての事だ。

 

2シーム主体だから、球速は物足りないのは当然。ファーストボールの質に拘った為のものだということが、わかります。

 

田中自身も「僕は毎回95マイルを投げられる投手じゃない。それは多分、試合の中で一度か二度ぐらい。そのことを考えると球速は、このぐらいでOKだ」とコメント。「やはり去年、4シームを数多く打たれていたので、2シームでボールを動かして、(バットの)芯を外していきたいなという狙いはあります」とインタビューでも答えていました。

 

その手本は、男気でブレイクしている黒田。 メジャーで5年連続10勝以上をマークした黒田博樹は、パワーに勝るメジャーの打者相手に“フロントドアの2シーム”を習得してメジャーリーガーたちを翻弄しました。

 

田中も4シームとスプリット主体というスタイルから、2シームでボールを動かして早めに打者を打ち取っていく配球パターンに変えています。だから、ヒジの影響で球威が落ちているのではなく、2シームの試投が原因と見るのが正確な見方でしょう。

 

ただ、その2シームを黒田のように武器にするには時間が必要で、甘く入った2シームを狙われて失点するケースは、十分に考えられます。スプリットやカットボールのヒジへの負担を考えた上での2シームへの移行。

 

そういう視点で見れば、この春の物足りないスタッツが見えてくると思います。

 

 

▼記事参考:

http://m.mlb.com/news/article/114857902/yankees-pitcher-masahiro-tanaka-working-on-improving-two-seamer