MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

イチロー放出もある!?次週ウィンターミーティング

米国では 「Thanksgiving Day」(感謝祭)の休暇が明けると、「Happy Holidays」(日本ではクリスマス)まで、ショッピングシーズンがはじまる。返品できることをいいことに買いまくるのが、アメリカの消費者傾向ですが、選手の獲得(補強)となるとそう簡単にはいかない。

 

 

MLB移籍情報

 

来週メジャーリーグでは、オーナーからマイナーリーグ関係者までベースボールビジネスの経営陣・関係者が一堂に会する一大“ジョブフェア”であるウィンターミーティング(12月9~12日、フロリダ州オーランド)を開催する。

 

 

GMたちの腕の見せ所

 

11/26のブログでも書いたタイガースのデーブ・ドンブロウスキーとレンジャーズのジョン・ダニエルズらゼネラルマネージャー(GM)の腕の見せどころ。

 

 

興味深いMLBの話題を配信しているナガオ勝司氏(BBWAA全米野球記者協会会員)の記事によれば、この会議で、さまざまな契約が成立するとのことだが、この時期にまとまったトレードで今も語り草になっているのは、1990年の12月5日にブルージェイズが仕掛けたトレード。

 

拡張球団として次第に力を付けていたブルージェイズは、当時パドレスの主力だったジョー・カーター外野手とロベルト・アロマー内野手を獲得し、トニー・フェルナンデス内野手フレッド・マグリフ一塁手を放出した。

 

メジャーファンには懐かしい名前だが、「この2人の新戦力の活躍でブルージェイズは、1992年からワールドシリーズ2連覇を果たした。

 

このトレードが成功例として挙げられる理由の一つは、ブルージェイズが優勝したからではなく、移籍した4人の選手がその後も全員活躍したからだろう」とナガオ氏は言う。

 

カーターは、1993年のワールドシリーズ第6戦で優勝を決める逆転サヨナラ3ラン本塁打を放ち、38歳までプレーする間に4度も球宴出場(初選出を含む)を果たした。当時22歳のアロマーもご存知のとおり活躍し殿堂入りの有力候補。他の2名もオールスターに選出されるような活躍を続けたという。

 

この有名なトレードを仕掛けたのが、マリナーズGM時代にイチローをポスティングで獲得してメジャー記録タイの年間116勝を達成し、2008年にはフィリーズを世界一に導いたパット・ギリックGM(現フィリーズ相談役・2010年殿堂入り)だった。

 

トリビアですが、あのマリナーズの2001年シーズンは鮮烈に覚えている。毎試合、VHSテープに録画していました。ちなみに、そのときのマリナーズのスタメンが下。

 

大魔神佐々木もクローザーでいた。佐々木につなぐ左右のセットアッパーも良かった。

 

 

【右】イチロー・スズキ  率.350(692-242) 8本 69打点 56盗 

【左】マーク・マクレモア 率.286(409-117) 5本 57打点 39盗

(左 スタン・ハビアー 率.292(281-82) 4本 33打点) 

【指】エドガー・マルティネス 率.306(470-144) 23本 116打点 

【一】ジョン・オルルッド 率.302(572-173) 21本 95打点 

【二】ブレット・ブーン 率.331(623-206) 37本 141打点 

【中】マイク・キャメロン 率.267(540-144) 25本 110打点 34盗

 (左 アル・マーティン 率.240(283-68) 7本 42打点) 

【遊】カルロス・ギーエン 率.259(456-118) 5本 53打点 

【三】デービッド・ベル 率.260(470-122) 15本 64打点

【捕】ダン・ウィルソン 率.265(377-100) 10本 43打点 

(捕 トム・ランプキン 率.225(204-46) 5本 22打点) 

 

 

 

ヤンキースイチローを放出するのか!?

 

本題に話を戻すと、そういった数々のかけ引きが展開されるウィンターミーティングだが、一番気になるのは、日本人選手の動向だ。

 

ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが早くもエルズベリー外野手の契約を決めた。グランダーソン外野手との再契約もあるという見方が強い。内野手のロビンソン・カノーはどうするのか?

 

来シーズンのヤンキースの外野陣はどうなるのか? シーズン終了時点で、ヤンキースの外野には、ブレット・ガードナー、アルフォンソ・ソリアーノ、バーノン・ウェルズとイチロー鈴木の4人の支配下選手がいる。それにエルズベリーとグランダーソンを加えると6人になり、1人~2人がリリースされることは確実。

 

「ニューヨーク・ポスト」紙などは、「ヤンキースイチローのトレードを模索するだろう」とみている。ウェルズが先になるだろうが、その次はイチローになるという。

 

イチローは「控えの外野手」になる。控えの外野手とすれば、これだけの選手は、なかなか探してもいない。守備範囲が広く、俊足で、もちろん1番も打てる。外野のレギュラーを休ませたいとき、あるいはケガをした時、どのポジションでも守れるので、その穴を埋められる。その質を落とすことなく代打、代走、守備固めとして使える。オフェンス、ディフェンス両面で使える選手。650万ドルなら安いという考えなのか。

 

キャッシュマンGMとジラルディ監督の構想には、「控えのイチロー」がいるのだろうか。40歳という年齢、打率2割6分2厘。出塁率2割9分7厘という今季の数字だけを見れば、現実はシビアなものになるのか。

 

ファンとしては、スタメンでも、まだまだやれるイチローに期待したい。あと258本でメジャー3000本という金字塔もある。

 

見ているファンはそう考えてしまうが、いまのイチローは「都落ち」という一流選手のプライドがあるのか「ヤンキースの一員である自分」が気に入っている雰囲気がある。

 

環境を変えてもいい結果がでるかどうかは約束されていないし、地方の球団で記録を作りたいという考えもなさそうだ。

 

それも分からないでもない。マリナーズ時代は記録にこだわったイチローだが、「しんどいだろう」と感じる部分も多々あった。シーズン99敗もしている弱小マリナーズでも最終3連戦には、イチロー最多安打記録を見るために満員になった。チームの稼ぎ頭として集客のために記録にこだわっていたのかもしれない。

 

でもヤンキースはスター軍団でそんなプレッシャーもない。優勝リングを手にする可能性も高い。「スーパーサブとしてのイチロー」そんなとこに落ち着きそうな予感がする。