今オフのクオリファイング・オファー(QO)の提示額が2050万ドルになることは以前の記事でも紹介したが、大谷翔平にもかかわることなので追加情報を紹介したい。
MLB契約情報
ニューヨークポストのジョエル・シャーマンによると2023年オフのQO提示額は2050万ドルに設定されるという。
今オフは少なくとも大谷翔平、コディ・ベリンジャー、ブレイク・スネル、マット・チャップマン、アーロン・ノーラ、ソニー・グレイ、ジョシュ・ヘイダーの7人がQOを提示されると予想したが、ポストシーズンも含めて全日程が終了するまで分らない。
MLB公式サイトのマーク・フェインサンドはQO提示される可能性がある選手をリストアップしている。
QOを提示される可能性がある選手
大谷翔平(エンゼルス)
マット・チャップマン(ブルージェイズ)
コディ・ベリンジャー(カブス)
J.D.マルティネス(ドジャース)
テオスカー・ヘルナンデス(マリナーズ)
ホルヘ・ソレア(マーリンズ)
ブレイク・スネル(パドレス)
ジョシュ・ヘイダー(パドレス)
リース・ホスキンス(フィリーズ)
アーロン・ノラ(フィリーズ)
ソニー・グレイ(ツインズ)
ちなみに昨年オフのQO提示額は1965万ドルだった。14人の選手がこのオファーを提示されジョク・ピーダーソン(ジャイアンツ)とマーティン・ペレス(レンジャーズ)が受け入れたが、他の12選手は拒否した。
Details on the qualifying offer for the upcoming offseasonhttps://t.co/zHFKwJ3vK5 pic.twitter.com/vnIgCz26QU
— MLB Trade Rumors (@mlbtraderumors) September 21, 2023
クオリファイング・オファーとは?
メジャーリーグファンならご存じのようにこの制度は、無償でFA選手の不公平な流出を防ぐために2012年から導入された。
せっかく育てた選手を資金力豊かな球団に引き抜かれないように考えられた制度だが、設定額は、その年の年俸上位125選手の平均額を規定額とし、提示を拒否した選手を獲得した他球団は翌年のドラフト上位指名権を元所属球団に譲渡しなければならないという規定がある。
提示されるのは有力(高額)選手が多いのでQO提示選手の動向は、移籍市場に影響を及ぼすことが多い。
1年短期の契約のため、一旦は拒否して複数年契約を結ぶケースもある。
昨年もアーロン・ジャッジ、アンソニー・リゾ、ブランドン・ニモが拒否した後にその球団と再契約した。
2012年から2022年までの期間に提示された選手は124人だが、受け入れた選手はわずか13人しかいない。
日本人選手ではヤンキース在籍時の黒田博樹が2012年と13年に球団の提示を拒否した後、規定額より高い年俸で再契約し、マリナーズの岩隈久志は2015年に提示を拒否した結果、規定額より低い年俸で合意している。
QO提示された選手は拒否するとFA契約の足かせ(不利)になることが多かったが、その後の機構側と選手会の労使協定(CBA)で下記のように変更された。
CBAで変更されたQO制度
①元所属球団が受けられる補償としてぜいたく税対象の球団は、ドラフト4巡目のあとに補償指名権を獲得する。
②レベニュー・シェアリング(収益分配)を受けている球団は、QOを拒否した選手が総額5000万ドル以上で他球団と契約した場合、ドラフト1巡目と戦力均衡ラウンドAのあいだに補償指名権を獲得する。総額5000万ドル未満の場合、ドラフト2巡目のあとに行われる戦力均衡ラウンドBのあとに補償指名権を獲得する。
③その他の球団は、QOを拒否した選手が他球団と契約した場合、戦力均衡ラウンドBのあとに補償指名権を獲得する。
といった内容に変更された。
さらに「QO拒否選手を獲得した球団が受けるペナルティ」などもあり、何度か労使交渉で変更され複雑で分かりにくい制度だが、MLB公式サイト(日本語版)で紹介してくれているので、きっちり理解したい人は参照していただきたい。
また、シーズン途中(夏のトレードデッドライン前など)に移籍した選手や過去に提示された選手は対象外になることも決められている。
ジャスティン・ターナー(レッドソックス)、エデュアルド・ロドリゲス(タイガース)、ルーカス・ジオリト(ガーディアンズ)、ジョーダン・モンゴメリー(レンジャーズ)などは過去に提示されているのでQOの対象外になる選手たちだ。
▽記事参考
http://www.mlb.jp/category/news/#61615