ブルワーズの日系三世、クリスチャン・イエリッチの契約延長は既にお伝えしたが、その続報が入ってきた。率直に言ってやや抑えられた契約内容になっている。ブルワーズがミルウォーキーというニューヨークやロサンゼルス、シカゴなどに比べて小さな商圏に本拠地を置くことから、そうなったのか、イエリッチのポテンシャルからすると残念な気がする。
MLB公式サイトやMLBネットワークのケン・ローゼンタールが伝えた内容をまとめると、正式契約は現地3月6日に発表される予定。
22年から7年1億9000万ドルに20年、21年分を加えて9年総額2億1500万ドル。10年目の29年は相互オプションになるという。ブルワーズは彼を28歳から36歳までというもっともパフォーマンスが期待できる期間をキープできる。
昨年は、9月10日のマーリンズ戦で自打球により右膝膝蓋骨を骨折し故障者リスト入りしたが、それを除くと、キャリア7年間で15年2回、18年1回の計3回45日間しか故障者リストに入っていない。
長期契約の場合、下手すると最後の2~3年は、コスパの悪い「不良債権化」する場合があるが、MLB公式サイトでも伝えているとおり、彼の場合は28歳から36歳までという比較的若い期間を買い取った長期契約だ。
そのことから考えても7年1億9000万ドル(年平均2714万ドル)は安い。総額ではデレク・ジーター の1億8900万ドル(2001-10)を抜いてメジャー史上19位だが、下の一覧を見てもわかるとおり、上位がこの数年で3億ドル以上を契約していることから考えると、かなり妥協した金額といえる。
1. Mike Trout,
$426,500,000 (2019-30)
2. Bryce Harper,
$330,000,000 (2019-31)
3. Giancarlo Stanton,
$325,000,000 (2015-27)
4. Gerrit Cole,
$324,000,000 (2020-28)
5. Manny Machado,
$300,000,000 (2019-28)
6. Alex Rodriguez,
$275,000,000 (2008-17)
7. Nolan Arenado,
$260,000,000 (2019-26)
8. Alex Rodriguez,
$252,000,000 (2001-10)
9. Miguel Cabrera,
$248,000,000 (2016-23)
10. Stephen Strasburg,
$245,000,000 (2020-26)
10. Anthony Rendon,
$245,000,000 (2020-26)
シーズン40本塁打以上で30盗塁以上という「40-30」を記録しているのに、この差はどこから来るのか、本拠地の「スモールマーケット」という要素以外にも守備面というカテゴリーで、やや地味なイメージがあることだろうか。
昨年1000イニング以上出場した外野手はメジャー全体で36人いるが、UZR/150ではイェリッチは13位。ベリンジャー(同2位)、ベッツ(同3位)、ハーパー(同4位)に比べると、数値でも劣る。
イチローと同僚だったことから何度もそのプレイは見たことがあるが、スローイングも強肩というほどでもない。そうしたことから総合的に判断して妥協したのではないだろうか。
マイアミ・マーリンズの経営方針が嫌で放出を希望したイエリッチ。今のクラブハウスを中心とした彼を取り巻く環境が気に入っているのかもしれない。
ツインズにトレードされた前田健太がドジャースと結んだ契約ほど酷くはないが、これからのフランチャイズ・プレイヤーとしての契約だっただけに、少し残念な気がする。
He’s signed a lot of autographs in his career, but we’d venture to say this one is probably the most valuable.#ThisIsMyCrew pic.twitter.com/1SKRyujlWV
— Milwaukee Brewers (@Brewers) March 6, 2020
▽Information source
https://legacy.baseballprospectus.com/compensation/cots/league-info/highest-paid-players/
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