メジャーリーグ選手会は2日、ワールドシリーズ終了を受けてフリーエージェント(FA)になった139選手を公表し、日本選手ではマリナーズから岩隈久志投手、ブルージェイズから川崎宗則内野手がリストに入った。7日からどの球団とも交渉が可能になる。
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ひと口にFAと言っても選手個々に様々なケースがあり、球団側が再契約を希望する選手に対しては6日までに、規定額での1年契約を提示する「クオリファイング・オファー」が提示され、選手は13日までに契約を受け入れるかどうかを決める。
クオリファイング・オファー(QO)の金額はメジャーリーグの年俸上位125名の平均で、2014年は1410万ドル、2015年は1530万ドルだったが、2016年はさらに上昇し1580万ドル(約19億円)になると複数のメディアが報じている。
QOが提示されることが確実な選手
岩隈久志(SEA)
アレックス・ゴードン(KC)
チェン・ウェイン(BAL)
クリス・デービス(BAL)
ザック・グレインキー(LAD)
ジョン・ラッキー(STL)
ジェフ・サマージャ(CHW)
ジャスティン・アップトン(SD)
ジョーダン・ジマーマン(WSH)
この他にもQO確実な選手が数名いるが、これまでQOを受けた選手は1人もいない。そう言えば当時ヤンキースの黒田博樹もQOを拒否していた。
しかし、ドラフト指名権の問題などが拒否した選手には足かせになってFA市場でQOを受けていない選手より不利な立場になる。
QO拒否のFA選手を獲得した球団もドラフト指名権を犠牲にしなければならず、獲得する選手がもたらすメリットを天秤にかけながら交渉することになり、このため交渉が難航して開幕までもつれるケースもこれまでにはあった。
オリオールズで47本塁打を放って本塁打王に輝いたデービス(1B)、その同僚の元中日のチェン・ウェイン投手(LHP)らが提示を受ける可能性が強い。とは言え気になるのは岩隈久志投手(RHP)の契約だろう。
岩隈もメジャー移籍初のFA
ここでも再三紹介してきたが、岩隈久志は、このオフに契約が切れる。メジャーへ移籍して初めてのFAになるが、複数年の好条件での争奪戦が必至の状況になってきたという。
岩隈の今季は、球団側がオプションを行使する形で年俸700万ドル(約8億6800万円)というそれまでの実績からすると格安で契約延長した。
今季に過去2年と変わらぬ成績を残していれば、年俸1500万ドル以上と単年あたり倍増する額で、2年以上の複数年契約が望めた。
ところが故障による出遅れで、あのままFAとなれば、年俸800万ドル前後での単年契約、というのが米球界関係者の見立てとなっていた。来季35歳を迎える年齢は若くなく、プラス材料には見られないという評価だった。
昨年は、シーズン前の自主トレ中の不慮の事故だったが、今季も4月21日の登板から7月7日の復帰登板まで故障によるDLで戦列を離れ、これまで故障が多かった印象もある。
ここから成績が大きく上向くことは考えにくい。ローテーション3、4番手候補というのがスカウティングレポートだったのではないか。
しかし、ノー・ノー以降、再評価され、復帰後の好投で岩隈株は急上昇した。
このオフは、岩隈のほか、ブルージェイズのデービッド・プライス投手や、ロイヤルズのジョニー・クエト投手、レンジャーズのコール・ハメルズ投手などの大物FA先発投手が目白押し。
このことから買い手市場であり、そういう意味では評価が抑えられやすい環境だ。
しかし、そうした買い手市場でも岩隈の契約は、800万の単年から年俸1200万ドル(約14億4000万)前後の2年契約まで上昇した。
メジャーリーグの大きな傾向としてメッツなどがそうかもしれないが、FAに強化資金を投入するよりは、「若手の育成」に方針転換する球団も多く、12月のウィンターミーティングを含めてクリスマス前までその動向が注目される。
メジャーは今年も熱いストーブリーグに突入した。