MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

川﨑ムネリン「長いシーズンが終わり、今年も毎年恒例の無職の身になりました」

 

川﨑宗則が自主トレ始動!

 

川崎宗則の去就が気になる日本のファンも多い。

 

MLB選手会のFAリスト139人には彼の名前があった。ブルージェイズの地元トロントでは人気者の川崎。その野球にかける姿勢とポジティブで明るい性格からチームのムードメーカーとしてポストシーズンでもロースター外ながらチームと帯同してベンチ入り。個性的なブ軍の中心に彼の雄姿があった。

 

オフィシャルブログでは、10月31日から2016年シーズンに向けての自主トレ開始を公表した川崎だが、シーズン中、スポニチに掲載した「川崎宗則チェストーーク」にプレイオフの様子や今後のことが語られていて興味深かったので紹介する。

 

 

 

川崎宗則チェストーク


初のプレーオフ 全部日本語でみんなにカツ

 

ブルージェイズ川崎宗則内野手の米4年目のシーズンが終わった。チームは23日にリーグ優勝決定シリーズで敗退し、ワールドシリーズにはあと一歩届かず。川崎は登録メンバーから外れたが、ベンチではムードメーカーとして盛り上げた。開幕から月1回掲載してきた大好評企画「チェストーーク」も最終回。初体験のプレーオフ、そして注目の去就について語った。

 

今年は文字通りの激動のシーズンだった。米国に来て4年目で、間違いなく一番忙しかった。でもその分、ベースボールというものを最高に楽しめたので、充実した1年でもあった。

 

メジャーのプレーオフも初めて経験できた。僕の中で思い出に残っているのは、テキサスでのレンジャーズとの地区シリーズ第3戦。ホームで2連敗して後がない状況の試合前、選手ミーティングがあった。バティスタ、エンカーナシオンの主力2人のスピーチが終わると、バティスタが「カワ、最後はおまえが締めろ!」って、まさかの指名。第2戦で審判のストライクゾーンなどが物議を醸していたこともあったので、こう言った。

 

審判に文句なんて言ってないで、きょうから3つ勝てばいいだけだ!このチームはそれができるんだ!シーズン中もずっとそれをやってきたんだから、ガタガタ言わずに3つ勝たんかいっ!LET’S GO!

 

指を3本立ててチェスト流のカツを入れた。もちろん、全部日本語で、英語は最後の「LET’S GO!」だけ(笑い)。メジャーの大男たちが、訳の分からない言葉で気合を入れられるのなんて、おそらく初めてだろうけど、みんなちゃんと目を見て真剣に聞いてくれた。終わった後、エンカーナシオンが寄ってきて、目をパチパチさせてひと言。「カワ、言葉は分からないけど、おまえの言いたいことは伝わったぞ」。そこから3連勝で、地区シリーズ突破!それこそが、まさに僕の知るブルージェイズというチームの底力だ。

 

僕のプレーオフ中のラッキーアイテムは、トマトラーメン。トロント市内においしいお店があって、ナイターの時はランチに食べて、デーゲームの日は前日のディナーに食べる。それを食べると、不思議とチームが勝ち続けた。現役選手が毎日ラーメンなんてとんでもないけど、トマトなら体にもいいしね。負けてしまったロイヤルズとのリーグ優勝決定シリーズ第6戦は敵地カンザスシティーだったので、残念ながら験担ぎができなかった。もしその日も食べていたら、今頃ワールドシリーズだったかもしれないね。

 

長いシーズンが終わり、今年も毎年恒例の無職の身になりました。2月の常夏フロリダのキャンプから、トロントで初雪を観測した10月まで毎日ボールを追っかけて、走り回って野球やってきた。しばらくは家族とゆっくりしたいし、させてくださいな!(笑い)

 

来季は日本か米国か…。今の心境は、得意の50/50かな。もちろん、オファーをもらってから初めて僕にもチョイスが生まれるわけで、そもそも雇われる身として、初めからそんな偉そうなことも言えません。

 

米国では最高の仲間に恵まれて、本当に毎日楽しんで野球をやれている。僕にとって、こんな幸せな環境はない。バイソンズ(傘下3A)にいた期間も最高だったし、ブルージェイズの仲間も大好き。みんなぶっ飛んだ野球バカたちが集まって、お互いの感情がぶつかり合うこともしばしば。でもそんなヤツらが結束した時ほど、怖いものはない。ドナルドソンが叫んで、バティスタがうなって、マーティンがにらみつける。ブルージェイズは、そんな熱い男たちの最高の集団。こんな仲間と野球ができたことは一生の誇りです。

 

では、みなさんまた会いましょう!チェスト!

 

=終わり=