先発投手に人材が少なく、外野手に多いといわれている今オフのフリーエージェント(FA)市場。クオリファイング・オファー(QO)が10人の選手に提示された。
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以前ここでも紹介したがトロント・ブルージェイズがFAとなる指名打者エドウィン・エンカーナシオン、ホセ・バティースタ外野手にクオリファイング・オファー(QO)を提示した。
ブルージェイズのロス・アトキンスGMは、強打者2人にQOを提示することについて「簡単すぎる決断だよ」とコメント。
そして、「彼らは素晴らしいキャリアの持ち主で、左右どちらの投手も苦にしない。特にここ数年は、チームの成功に関して大きな部分を担ってきてくれた」と話している。今季は、このふたりを含む10選手が所属チームからQOを受けた。
▼彼ら以外の8選手は下記のとおり
ヨエニス・セスペデス、OF(メッツ)
ケンリー・ジャンセン、RP(ドジャース)
マーク・トランボ、OF(オリオールズ)
イアン・デスモンド、SS/OF(レンジャーズ)
ニール・ウォーカー、2B(メッツ)
デクスター・ファウラー、OF(カブス)
昨季は20人が1580万ドル(約16億5,000万円)のQOを提示されたが、これを受け入れてサインしたのはボルティモア・オリオールズのマット・ウィータース捕手、ヒューストン・アストロズのコルビー・ラスマス外野手、ロサンゼルス・ドジャースのブレット・アンダーソン投手の3人だけだった。
各選手は14日までにサインすれば年俸1720万ドル(約18億円)の1年契約が成立。QOの金額は、メジャーリーグの球団に所属する上位125選手の平均年俸で決まる。
毎年、ほとんどの選手がが拒否するが、その場合は、FAとなり全球団と交渉することになる。もし、他球団と契約が成立した場合は旧所属チームに来年のドラフトで1巡指名後の補償指名権が与えられ、獲得チームは上位指名権(条件付き)を失うことになる。
各球団は、こうしたリスクや高額年俸を天秤にかけてQO拒否選手を獲得しなければならず、このため、QO拒否選手はFA市場で契約交渉の不利になる場合が多い。
なお、ブルージェイズのエンカーナシオンについては、シーズン中にレッドソックスを引退宣言していたデビッド・オルティーズが自分の後釜にふさわしいと話したことで物議を醸したが、ボストンの地元紙もその可能性に言及していた。
来季のレッドソックスは、デビッド・オルティーズ(1600万ドル)、上原浩治(900万ドル)、田澤純一(337.5万ドル)、ブラッド・ジーグラー(550万ドル)らがFAとなることによって、単純計算で約3000万ドル近くの年俸が削減される。
複数年で最低でも1億ドルといわれているエンカーナシオンの年俸。市場の動向次第ではハンリー・ラミレスの年平均2200万ドル、ヨエニス・セスペデスの2500万ドルになることは誰でも予想できるが、その資金も確保できる計算だ。レッドソックスのデーブ・ドンブロウスキー社長がどう動くかが、注目される。
来シーズンを34歳で迎えるエンカーナシオンは今季、打率.263、自己最多タイの42本塁打を放ち、127打点でタイトルを獲得。一方、36歳のバティースタは故障に苦しみ、打率.234、22本塁打、69打点と低調に終わった。