ヤンキースの田中将大は、次回先発(日本時間3日)のレッドソックス戦に備え、敵地フェンウェイパークのブルペンで投球練習をした。
MLB2015
ロスチャイルド投手コーチに左右の打席に立ってもらい、各種持ち球を投げ込んだ模様です。ひじの高さを確認する場面もあり、田中は「腕の角度に気をつけている。たまにひじが下がるときがあるから、意識している」とコメントしています。
前回の田中は、初回に大量5点の援護をもらって気がゆるんだのか、立ち上がりはスライダーもスプリットにもキレがなかった。
先頭打者にヒットを許すと、次打者には四球。さらにヒットと犠牲フライで2失点を献上した。
悪い流れは、味方の好守、センターのジャコビー・エルズベリーのスーパーキャッチで助けられた。試合後のインタビューでも「エルズベリーに救われました」と田中はしみじみ振り返った。
終盤にもエルズベリーは、痛めた右腰部分がフェンスに強打するのも構わずセンター後方への大飛球をキャッチするシーンがあった。
しかし、これ以後の田中は、2回を三者三振。3回にソロを被弾するも、その後の打者を14人連続で退ける内容で、気持ちの切り替えや修正能力は特筆すべきだ。
結果、田中は7回、被安打5、1四球、3失点、7奪三振と試合をつくり、2年連続二桁勝利となる10勝目を挙げた。
メジャーで重要視されるクオリティ・スタート(6回以上、自責点3以内)をこれで5戦連続クリアしている。
現地メディアからは厳しい意見も
ここまでは、良くやっているという評価がつきそうだが、「エース論」という視点で見た場合、現地メディアからは厳しい意見も出ているようだ。
メジャーリーグなどの字幕翻訳ほか、野球関連のニュース、コラム、インタビュー記事などを執筆している松山ようこさんによれば、New York Postのダン・マーティン氏は、27日に「田中はヤンキースの投資に見合うエースになり得るか」と題した記事のなかで、「ヤンキースには連敗を止めたり、大一番でライバルを制したりする力を持ったエースがいない」とばっさり。
田中をエースと見なしていない論調だ。
同氏は、2012年にヤンキースが地区優勝した時、エースだったCCサバシアが、シーズンラスト4先発すべてで8回を投げきってチームに勝利をもたらしたこと、そして24イニングでわずか4失点の快投をみせてプレーオフに導いたことなどを例にあげ、「ヤンキースのエースとはタフで然るべき」との見解を示し、田中に「ダメ出し」している。
さらには、これまでドライに「そもそも田中は3番手ピッチャー」と言い捨てていたESPNのアンドリュー・マーチャンド氏も、「ヤンキースが田中をスター選手として扱う以上、田中は相応のピッチングで応えるべき」と辛らつな意見を寄せている。
主張はマーティン氏とほぼ同じらしく、大型契約に見合うレベルのパフォーマンスをみせていないという調子だ。
また、ジョー・ジラルディ監督が「全員のため」と、先発6人制や中5日以上のルーティンにしていることも、「すべては田中を気遣ってのこと」と指摘。過保護にするのではなく、チームを牽引する活躍をさせるべきとしている。
ただし、この「エースのフル稼働論」は現地で取材する松山さんによれば、コメントなどでプチ炎上しているらしい。
「だからサバシアはボロボロになったんじゃないか」、
「スター扱いしてるんじゃなく、大型投資が無駄にならないようにしてるだけ」
「田中は何も悪くない」など、
反対意見が多く寄せられているという。
田中がNYメディアを黙らせるには、まずは昨シーズンの投球回数136イニングを超え(現時点で121回)、防御率が昨年の2.77以上(現3.62)を上回る必要がある。
ニューヨークのメディアは辛らつだ。これが彼らのスタイル。田中には数字を残して、彼らを「ギャフン」と言わせて欲しいものだ。
▽記事参考/引用
http://www.jsports.co.jp/press/article/N2015082923210301_2.html