黒田博樹の広島復帰マウンドにメジャーを代表する剛腕、ロサンジェルス・ドジャースのクレイトン・カーショーが友情あふれるメッセージを送っています。
メジャーリーグから8年ぶりに古巣・広島に復帰した黒田が、29日のヤクルト戦(マツダ)で先発として今季初登板します。
これに対してカーショーが「ヒロ、頑張れ。君がずっとやってきたことをそのままやっていけばいい」と、海の向こうからメッセージを送っています。
2008年に“ルーキー”として出会った黒田とカーショー
昨季3度目のサイ・ヤング賞に輝いた27歳左腕は、黒田のドジャース在籍時のキャッチボール相手で、公私で親交が深かった選手です。
今やメジャーを代表する投手となったカーショー。黒田との友情は全米メディアでも紹介され広く知られている。
出会いは2008年。広島からドジャースに移籍した黒田と、プロスペクトとして期待され開幕直後にマイナーから昇格してきたカーショーは、ともにメジャーでは“ルーキー同士”で、キャッチボールの時にパートナーを務めるようになった。
当時、20歳だったカーショーは日本で豊富なキャリアを持つ黒田を尊敬し、黒田も若いながら類い希な才能を持つカーショーに一目を置いていた。
黒田は、カーショーについて「年下ですけど尊敬できるピッチャーですし、人間的にも素晴らしい。彼のルーキーと僕の1年目が重なったので、なんかすごく思い入れのある選手ですね」と話している。
試合前のキャッチボールで必ずコンビを組み、黒田がブルペンに入る直前には、カーショーが捕手役になり、力の入った投球を座って受けた。そして、黒田がブルペンに入ってからは後方で投球をジッと見つめ、自分に生かせるものを探していた。
黒田はツーシームを軸とした投球スタイルに変更してメジャーでも成功を収め、カーショーもあっという間に頭角を現した。
2人はドジャースで切磋琢磨しながら、メジャーでエース級の投手として確固たる地位を確立した。カーショーは4年目の2011年に21勝5敗、防御率2.28、248奪三振と圧巻の成績を残して、1度目のサイ・ヤング賞を受賞。
その際、ドジャースのネド・コレッティGMは「このサイ・ヤング賞には、黒田から学んだものが詰まっている」と師弟関係で結ばれるベテラン右腕にも敬意を表している。
黒田とカーショーの深い友情
黒田とカーショーの友情がわかる逸話がある。それは黒田の著書「決めて断つ」でも詳しく書かれている。2011年、黒田は、ヤンキースからのオファーで、チームを離れることを考えていた。
それは、2011年9月26日に行われた投手ミーティングでの出来事だった。
カーショーが黒田に対して「来年も一緒にやろうよ」と語りかけると、周りから「そうだ」という声が次々と上がった。その場は我慢した黒田だったが、クラブハウスに戻ると自身のロッカーの前でこらえきれずに涙を流したという。2人の友情は、想像を遙かに上回る熱いものがある。
ヤンキースとドジャースで投げ合った時も「(黒田のことを)尊敬をしているし、多くのことも学んだ。今夜のゲームはタフになるだろうと思っていた。アメリカンリーグのベストピッチャーに負けたのだから、仕方がないよ」とカーショーは黒田に対してリスペクトするコメントを残している。