2014年以来、10年ぶりにプレーオフに進出しているデトロイト・タイガースが2日(日本時間3日)、西地区を制覇して7年連続リーグチャンピオンシップ・シリーズ(リーグ優勝決定戦=ALCS)進出を果たしている強豪のヒューストン・アストロズを破って一つ上のステージであるディビジョン・シリーズ(地区シリーズ=DS)進出を決めた。
Forever grateful that YOU are a Detroit Tiger, A.J. 🐅 pic.twitter.com/bll8wtEg96
— Detroit Tigers (@tigers) October 3, 2024
タイガースは、ア・リーグの第6シード、対戦相手のアストロズは第3シード。予想を覆すアップセットだ。タイガースが名将A.J.ヒンチ監督の手腕でWCSを突破した選手(投手)起用法はMLB.jpの「タイガースはいかにアストロズを倒したか 名将の大胆な継投策」というタイトルで紹介しているので、それを読んでいただきたいが、ヒンチ監督は2015年から2019年まではアストロズの監督として、現在のアストロズ王朝の礎を築いた人物。
それまでのアストロズは2011年から3年連続で100敗シーズンを経験するなど万年Bクラスのチームだった。2009年以降、6年連続で負け越していたが2015年にヒンチが監督に就任。その年にワイルドカードでポストシーズンに進出。2017年にはアメリカンリーグ所属となって初のリーグ優勝、MLB史上初となる両リーグからのワールドシリーズ出場を果たすと球団史上初めてワールドシリーズも制覇した。
しかし、2020年のシーズン前に2017年シーズンのサイン盗みが発覚。アストロズは、アメリカスポーツ界のみならず世界全体のスポーツ界においてバッシングを受ける対象となってしまった。
解任された監督が古巣にリベンジ
ヒンチ監督は、2020年1月、アストロズの「サイン盗み問題」によりMLBから2020年シーズンの1年間出場停止処分が下り、これを受けたアストロズのオーナーであるジム・クレインから監督を解任された。
ただ、「サイン盗み」の主導的な役割を果たしていたコーチのアレックス・コーラ(現レッドソックス監督)と異なり、ヒンチ個人はサイン盗みには反対の立場であったと伝えているメディアもある。
「サイン盗み」問題の責任をとってアストロズの監督を解任されたが、一部のメディアでは「バットでサイン盗み用のモニターを数回に渡って破壊するなどサイン盗み体制への抵抗を図った」ことも伝えられている。
アストロズが首を切った人物率いるチームに敗れ8年連続の大舞台を逃したことは、皮肉な結果と言えるだろう。
タイガースのDS進出は2014年以来、10年ぶり。アストロズの黎明期を支えた監督が不本意にもチームを追われ、9年連続負け越しのタイガースでリベンジを果たした。
タイガースには前田健太が所属。ワイルドカードのロースターからは外れたが、DSでのロースター入りに期待したい。