大谷は今季も歴史的な活躍で様々な記録を作り出していくと思われるが、個人的には誰にでもわかりやすく印象的な「本塁打」だけに絞って大谷がシーズン「50本塁打」に到達できるのかに注目していきたい。
大谷翔平NEWS
前半戦を打率.302、本塁打32、打点71、OPS1.050、OPS+182でターンしたTWP大谷翔平。投手では17試合、100.1イニングで7勝4敗、防御率3.32、WHIP1.096、FIP4.02、奪三振132、SO/9=11.8、BB/9=3.9というスタッツだった。
エンゼルスは91試合を消化して残り71試合。162試合に換算すると大谷は57本ペース。故障もなく普通にいけば自身が2021年に記録した日本選手のMLBシーズン最多46本塁打を超え「50本塁打」も十分に期待できる。
ただし、そんなに単純に達成できる数字ではない。2021年も前半は33本でターンしたが、後半は13本だった。
マイク・トラウトら主力に故障者が多い打線で、後半戦は勝負を避けられるケースもあるだろう。特に後半戦は勝率5割以上の上位球団との対戦が多く相手も勝つために必死だからだ。
戦術的に考えれば大谷との勝負を避ければ失点は少なくて済む。そんな中でエンゼルス時代の大谷が打者として「50本塁打」の金字塔に到達できるのか。そこにも注目して応援していきたい。
30人しかいないシーズン「50本塁打」
メジャーリーグの長い歴史でも、シーズン50本塁打以上を放ったのは昨季までで30人、のべ47回しかない。ベーブ・ルースが4回で最多。ミッキー・マントルらが2回。
1950年以前では11回。長い間、1920年のルースの60本塁打がシーズン最多だった。
50年以降90年までが6回。ルースを抜いた1961年のロジャー・マリスの61本が最多本塁打の金字塔になった。
最多本塁打記録の暗い歴史
90年代はマーク・マグワイアが50本塁打以上を3回記録するなどのべ12回。マグワイヤとソーサが本塁打を量産した時代だった。
しかしながら、この二人は禁止薬物(筋肉増強剤)などの使用を公聴会で認めている。
2001年にはジャイアンツのバリー・ボンズが73本という新記録を樹立したが、マグワイヤとソーサ、ボンズはドーピング疑惑で ”False Record(偽物の記録)” だろう。
2000年以降はアレックス・ロドリゲスが50本塁打を3回マークしたが、ご存じのとおりESPNが行った単独インタビューでロドリゲスはテキサス・レンジャーズ時代の2001年から2003年にかけてステロイド剤を使用していたことを認めて謝罪した。
2009年末にはヒト成長ホルモン(HGH)のスキャンダルで再びロドリゲスの名前が浮上。2014年にはMLB機構からポストシーズンを含む、2014年シーズンの全試合出場停止処分を科された。
現在では2001年のボンズの73本が最多記録らしいが、個人的には「アスタリスク(参考記録)」のような気がする。
ロジャー・マリスの61本がTrue Record?
1961年のロジャー・マリスの61本が最多本塁打記録というのが ”True Record(真の記録)”、”Real Record(本物の記録)”のような気がする。
それを抜いた2022年のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)は公式にはア・リーグのみのシーズン最多本塁打記録になっている。
最多本塁打の話は「きな臭い話」になるので、ここまでにしておこう。
それより公明正大。日のいずる国から海を渡った “TWO-WAY PLAYER” 大谷翔平が「50本塁打」に到達する瞬間を見てみたい。
シーズン50本塁打達成者
ハック・ウィルソン(カブス)56本 1930年
ジミー・フォックス(アスレチックス)58本 1932年
ジミー・フォックス(レッドソックス)50本 1938年
ハンク・グリーンバーグ(タイガース)58本 1938年
ジョニー・マイズ(ジャイアンツ)51本 1947年
ラルフ・カイナー(パイレーツ)51本 1947年
ラルフ・カイナー(パイレーツ)54本 1949年
ウィリー・メイズ(ジャイアンツ)51本 1955年
ウィリー・メイズ(ジャイアンツ)52本 1965年
ジョージ・フォスター(レッズ)52本 1977年
セシル・フィルダー(タイガース)51本 1990年
アルバート・ベル(インディアンス)50本 1995年
ブレイディ・アンダーソン(オリオールズ)50本 1996年
マーク・マグワイア(アスレチックス)52本 1996年
ケン・グリフィー・ジュニア(マリナーズ)56本 1997年
グレッグ・ボーン(パドレス)50本 1998年
ケン・グリフィー・ジュニア(マリナーズ)56本 1998年
アレックス・ロドリゲス(レンジャーズ)52本 2001年
ルイス・ゴンザレス(ダイヤモンドバックス)57本 2001年
ジム・トーミ(インディアンス)52本 2002年
アレックス・ロドリゲス(レンジャーズ)57本 2002年
アンドリュー・ジョーンズ(ブレーブス)51本 2005年
アレックス・ロドリゲス(ヤンキース)54本 2007年
プリンス・フィルダー(ブルワーズ)50本 2007年
クリス・デービス(オリオールズ)53本 2013年
ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)59本 2017年
アーロン・ジャッジ(ヤンキース)52本 2017年
ピート・アロンソ(メッツ)53本 2019年
アーロン・ジャッジ(ヤンキース)62本 2022年
▼参考記事
メジャーリーグのシーズン50本塁打一覧、大谷翔平は歴代達成者に名を連ねるか