メジャー4年目の大谷翔平が類まれな「Two-way star」(二刀流)として躍動している。このままいけば伝説のシーズンになるだろう。
MLB2021 投手成績
右手首の死球で登板を回避していたエンゼルスの大谷翔平が現地時間9月3日(日本時間4日)、本拠地で行なわれたレンジャーズ戦に「2番・投手」で今季20試合目の先発登板。
初回に投手強襲の打球が右手に直撃するアクシデントがあったもののメジャー自己最多となる117球で7回を被安打7、失点2、奪三振8のハイクオリティースタート(今季2度目)だった。
逆境に強い、アメリカンコミックで映画化もされているマーベルのヒーローのような感じがする。
大谷の「リアル二刀流」は今季17試合目。2点リードで迎えた2回、8番ジェイソン・マーティンに2ランを献上したが、走者を背負うピンチンの場面(4回と7回)では100マイル超のフォーシームでレンジャーズ打線をねじ伏せ、レンジャーズに追加点を許さなかった。
Shohei Ohtani's strikeout was 100.4 MPH - his fastest pitch in a regular season game since April 4. pic.twitter.com/5skKFbWpun
— MLB Stats (@MLBStats) September 4, 2021
レンジャーズの指揮官クリス・ウッドワード監督は「彼はマウンド上で常に落ち着いている。自身が思った通りの球を(狙い通りに)投げている。アメージングな球の持ち主だ」と大谷を分析した。
打者・大谷は残念ながら4打数ノーヒットに終わったが、味方の打線がつながって大谷を援護射撃。最後は守護神イグレシアスが最終回を抑えてエンゼルスが3対2で勝利。大谷は9勝目(1敗)を手にした。
これで1918年のベーブ・ルース以来103年ぶりの同一シーズン「2桁勝利&2桁本塁打」に王手をかけた。
■103年前のベーブ・ルースとは?
1918年のルースは、ボストン・レッドソックスに所属。投手で20試合(19先発)に登板して13勝7敗、防御率2.22、WHIP1.05、奪三振40だった。
時代が違うので単純に比較するのはナンセンスかもしれないが、今季の大谷は20試合(20先発)、9勝1敗、防御率2.97、WHIP1.07、奪三振135。
投手のベーブ・ルースは大谷のように100マイルの剛速球で三振を奪っていく投球スタイルではなかった。与四球が年間2と少なく、どちらかというと制球力で抑えるタイプの投手だった。
生涯714本の本塁打を記録している100年前のレジェンドを否定するわけではないが、ルースは2016年23勝(3本塁打)、2017年24勝(2本塁打)で、二刀流としての真価は2018年だけ。
2018年に投げない日に外野手として11本塁打を記録。これが打者転向の分岐点になった。
結局、この1918年の11本塁打で「本塁打王」のタイトルを獲得。この年以降は登板回数が減り、打者に専念することになる。1918年はのちに「20世紀の本塁打王」になるルースの分岐点のような年だった。
その経緯を見ると、打者でも投手でもトップクラスを目指す大谷翔平とは目指しているものが違うように感じる。
■大谷翔平の終着点は...
それでもルースは生涯94勝46敗、防御率2.28という数字を残した。大谷のとっては「2桁勝利&2桁本塁打」は小さな通過点で、「100勝&715本塁打」のMLB史上これ以上ない不世出の記録を目指してほしい。
大谷翔平の現時点はメジャー通算13勝4敗、89本塁打。日米通算55勝(NPB42勝)、137本塁打(NPB48本塁打)。
遠い道のりでハードルは果てしなく高く、遠いが、それぐらいの方が見ている方も面白い。