夏のトレード期限まで5週間。まだ「売り手」と「買い手」球団を確定できる時期ではない。
しかしながら各球団とも今季の自軍の位置(順位)を見ながらポストシーズンに向けての足りない戦力を補強していくのか、それとも今季は諦めて主力を放出して有力な若手を獲得していくのか、ゼネラルマネージャー(GM)以上の腕の見せ所だ。
トレード期限前の移籍予想
ということで、時期尚早かもしれないが日本時間6月24日時点での順位を考慮して各球団の注目選手、またはニーズをみていきたい。
まずは、いくつかの球団のペイロールを紹介する。数球団が「ぜいたく税」の限界に達しつつある、ご存じの方も多いと思うが、これはNFLのようにサラリーキャップのないMLBで30球団の戦力均衡が目的で設定されている課税制度。補強の際にはこの「しきい値」が足かせになることもある。
MLBは2003年にこの制度を導入。ヤンキースなどは15年連続で税金を納め続けていた。ドジャースも5~6年続けて課税されている。
①ドジャース:$262.1million(2億6210万ドル)
②ヤンキース: $207.6 million(2億760万ドル)
③アストロズ: $207.0 million(2億700万ドル)
④パドレス: $205.6 million(2億560万ドル)
⑤レッドソックス: $205.5 million(2億550万ドル)
⑥フィリーズ: $202.5 million(2億250万ドル)
※上限は$210.0million(2億1000万ドル)
▼参考
Cot's Baseball Contracts
■各球団の注目選手をピックアップするとしたら?
トレードに各リーグの隔たりはないが、整理の都合上、アメリカンリーグ東部地区の球団から紹介していきたい。
レッドソックスの後半戦最大のブーストはクリス・セールの復帰であり、3Aのジャレン・デュラン外野手の昇格だろう。
ボビー・ダルベック一塁手が2年目の今季、打率.211、本塁打9、OPS.682で、昨年デビューした時ほどの光彩がなく、三振率も40%に近づいている。
このため、スラッガーが多い一塁手部門では最低レベルの数字で、補強するとすればこのポジションだろう。ダイヤモンドバックスのアズドルバル・カブレラやオリオールズのトレイ・マンシーニが候補。カブレラはメジャー15年目。今季は175万ドルの単年契約。内野の各ポジションを守った経験があり、使い勝手の良い選手だ。
■レイズ
10月にディビジョンに勝ってポストシーズンを勝ち上がるために、先発投手の補強が必要。タイラー・グラスノー投手が60日間の負傷者リストに入った。球界屈指の右腕マックス・シャーザーを狙うかもしれない。
レイズはファーム層が充実しており、ナショナルズは間違いなくMLBで最も弱いファームシステムだ。ドジャースが2018年にマニー・マチャドに対して行ったように5対1のトレードを成立させるだけの弾は揃っているとみたい。
ヤンキースは地区3位に低迷。アーロン・ヒックス外野手は、左手首の腱鞘(けんしょう)断裂の修復手術で今季は絶望的。左打者は、体力の峠を越えた感のあるブレット・ガードナーだけ。
ダイヤモンドバックスのケーテル・マルテ外野手(打率.366/OPS.967)はスイッチヒッターで守備もセンターと二遊間の経験もあり、2024年までの契約が残っているが23年と24年は球団オプションなので、狙っていくかもしれない。
また、マーリンズのスターリング・マルテ外野手(打率.321/OPS.931)は右打者だが、今季終了後にFAになりヤンキースが後半戦の戦力として獲得する可能性が考えられる。
ゲレーロJr.、ボー・ビシェット、マーカス・セミエンが活躍しているにも関わらず4位に低迷しているが、ジョージ・スプリンガーが復帰しているのでオールスターブレイク後に巻き返してくる可能性はある。
パイレーツの新クローザー、リチャード・ロドリゲスの名前が挙がっている。
オリオールズは今季も苦しいシーズン。放出するか微妙だが、対価を期待するならトレイ・マンシーニがトレード要員。一塁手が補強ニーズの球団はブルワーズやレッドソックス、アスレチックス、インディアンスがある。