新型コロナウイルスのパンデミックで忘れられた感があるが、昨年オフに球界を揺るがしたアストロズとレッドソックによる「サイン盗みスキャンダル」。その2球団の今季の打撃成績を比較してみた。
「サイン盗み」で制裁を受けた両チームは打撃スタッツが顕著に低下
まだまだシーズンが終わっていないので結論を出すのは早いかもしれないが、チームOPSで比較してみた。数字の後の順位は30球団中の順位だ。
17年OPS.823(1位)
18年OPS.754(7位)
19年OPS.848(1位)
20年OPS.729(13位)
17年OPS.736(22位)
18年OPS.793(1位)
19年OPS.806(5位)
20年OPS724(15位)
明らかにチームOPSが落ちているのが分かるだろう。
レッドソックスは打線の核だったムーキー・ベッツを放出したので数字が下がるのは分からないでもない。
しかし、アストロズに関しは、1番のスプリンガーから始まってアルトゥーべ、ブレグマン、グリエル、コレアなど、17年にワールドシリーズを制したメンバーがほとんど残っている。それでいてこの数字の低迷ぶりは、いかに手口が巧妙で「サイン盗み」の効果を逆に証明しているのではないだろうか。
アストロズ、レッドソックス、メッツの3球団は、2017年にアストロズが行っていたハイテク機器を使用した組織ぐるみの「サイン盗み」にそれぞれの監督が関わっていたため、監督が更迭され、新監督を探す事態に陥った。
監督の座を追われた3人のうち、アストロズのAJ・ヒンチは17年もアストロズで采配を振っていた。レッドソックスのコーラはアストロズのベンチコーチ、メッツのカルロス・ベルトランはアストロズの選手だった。
アストロズは新監督に大ベテランのダスティ・ベイカー氏を招聘し、来期以降のベイカーの契約も延長している。
メッツはクォリティコントロール・コーチ(と外野コーチ)のルイス・ロハスを監督に据えた。レッドソックスは2月11日に、ベンチコーチのロン・レネキーを暫定監督にすることを発表。その後、正式に監督職に昇格させた。