MLB移籍情報
球団別の補強状況
今季は、フリーエージェント(FA)選手のスターター(先発投手)と外野手に人材が豊富だった。需給バランスでいうと供給が多く「買い手市場」。そのため、スプリングトレーニングが近づくにつれて、当初予想されたよりもやや抑えめの契約が目立った。
そこに、ぜいたく税との絡みで年俸総額を抑えようとする球団側の思惑や若手育成、トレード重視というメジャー全体のトレンドが絡んで、明らかにFA市場は停滞気味になっていた。
投手の補強から入るチームが多く、そこが遅れるとポジションプレイヤーや外野手なども停滞する。
ジャスティン・アップトン外野手、 キューバ出身のヨエニス・セスペデス外野手、本塁打王クリス・デービス一塁手などの大物がようやく1月中旬に決まりだしたが、ハウィー・ケンドリック二塁手、イアン・デズモンド遊撃手、ヨバニ・ガヤルド投手、ダグ・フィスター投手、9月に臀部を手術したティム・リンスカム投手などの去就が決まっていない。
11月2日、メジャーリーグ選手会は139人のFA選手を公示した。そうした選手たちを含めてこのオフ注目選手たちをどのチームが獲得したのか?
代表的なスターター(先発投手)を中心に紹介したい。
■ボストン・レッドソックス
ドンブロウスキー新球団社長が、早々と手を打った。先発の核としてデビット・プライスを獲得。トレードでは、新クローザーとしてクレイグ・キンブレルを獲得。さらに、田澤純一のライバルになりそうな若手26歳のセットアッパー、カーソン・スミスもマリナーズから獲得している。
■ニューヨーク・ヤンキース
剛腕アロルディス・チャップマンをクローザーとして獲得。バックエンドがアップグレードしたが、DV問題で検察当局が不起訴を決めたがMLBからは何試合かの出場停止処分があるかもしれない。
移籍情報ではないが田中も含めて故障の多かったスターター陣が課題。若手のルイス・セベリーノが先発として確立、ベテラン左腕CCサバシアがバウンスバックすれば他チームの脅威になる。
ここでも昨年11月24日の記事で紹介したが、ハル・スタインブレナー共同オーナーは、近い将来、ぜいたく税のライン(1億8900万ドル)以内に年俸総額を圧縮する方針に変わりはないと強調して今オフもFA選手の契約を見送った。
■アリゾナ・ダイヤモンドバックス
ザック・グリンキーと若手の注目株でイニングイーターとして期待できるシェルビー・ミラーを獲得。
■サンフランシスコ・ジャイアンツ
Dバックスを蹴ったジョニー・クエトと契約。他にジェフ・サマージャ。1月に入って青木の後釜としてデナード・スパン外野手と契約した。
■デトロイト・タイガース
ジョーダン・ジマーマンと5年1億1000万ドルで合意。クローザーにフランシスコ・ロドリゲス。リリーバーも実績のある右腕マーク・ローや左腕ジャスティン・ウィルソンが加入し、ブルペン陣の強化もしている。打線はアップトン外野手と6年契約を結び強化した。
■シカゴ・カブス
ジョン・レスターの親友ジョン・ラッキーと契約。外野手の補強としてジェイソン・ヘイワードと大型契約を結んだ。ベン・ゾブリスト内野手やトレードでヤンキースから右腕アダム・ウォーレンも補強した。名将マドン監督は、使い勝手のいい川崎宗則(マイナー契約)をどう起用するのかも注目したい。
■セントルイス・カージナルス
先発投手の補強に積極的だったカージナルスは、つい先日、マイク・リークと5年8000万ドルで合意。元阪神の呉投手と先日契約。
■シアトル・マリナーズ
青木宣親と契約。左腕ウェイド・マイリーに加え岩隈久志とも再契約。新GMのジェリー・ディポトにとって岩隈の再契約まで出来たのだからラッキーだったといえる。
■テキサス・レンジャーズ
元広島のコルビー・ルイスと1年契約で再契約。元ヤクルトのトニー・バーネットも獲得している。
■ロサンゼルス・ドジャース
前田健太を8年契約、左腕スコット・カズミアーを3年で獲得。現時点で前田は先発4番手~5番手扱いだ。
■マイアミ・マーリンズ
チェン・ウェインを獲得。若手中心のローテーションに中堅左腕が加入したことになる。打線は不動の1番ディー・ゴードンと5年契約(6年目オプション)している。
■ニューヨーク・メッツ
今オフの最後の大物セスペデス外野手と再契約にこぎつけた。 ここは、最も激戦が予想される地区でライバルのナッツはストラスバーグと調停回避して契約を結んだ。
※1月14日の記事に加筆訂正