今季は、FA選手を含めて移籍市場に人材が豊富だった。そこに、ぜいたく税との絡みで総年俸を抑えようとする球団側の思惑や若手育成、トレード重視というメジャー全体の傾向などが絡んで、明らかにFA市場は停滞気味になっている。
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多くのトップクラスのFA選手の契約が次のロッカールームを決められないまま越年することになるが、今後、動きそうなチームということで米メディアのコラムニストたちの解説を参考にしながらピックアップすると――。
ボルティモア・オリオールズは、本塁打王クリス・デービスとの再契約が最も優先順位の高いものだったが、この数週間は交渉が進んでいないように見える。
シアトルからマーク・トランボを獲得したがデービスと再契約できなければ、ゴードン、セスペデス、アップトンらのクラスでなければとてもデービスの穴埋めはできない。その場合でもライトではなくレフトになるので、ライトを任せられる選手が必要になる。
最近契約した韓国人のキム・ヒョンスもMLBでは未知数でレフトがメイン。デービス次第だが、オフェンスは戦力ダウンになることが考えられる。同地区のヤンキース田中将大やレッドソックス上原浩治、田澤純一からすれば脅威がひとつ減ることになる。
テキサス・レンジャーズは、エース格のダルビッシュ有が不在でも前年より21勝を積み上げて、大本命がいないア・リーグ西地区を制した。
しかし、コール・ハメルズの獲得により、補強を行う予算枠があまり残されていないという。ジョン・ダニエルズGMはトム・ウィルヘルムセン、トニー・バーネットといったリリーバーを獲得することによってブルペンの層を厚くしてスターターのコマ不足を補う方針だが・・・。
カンザスシティ・ロイヤルズは、FAでクエト、ゴードン、ゾブリスト、マドソンを失って明らかに戦力ダウンした。
しかし、それを埋めるだけの予算枠がない。特にゴードンを失った外野は層が薄くなった。そのため、ロイヤルズにフィットするベストの外野手としてブレーブスのエンダー・インシアーテを獲得するという案もある。インシアーテは、25歳と若く年俸も安い。しかし、再建中のブレーブスが余程の交換要員を出さない限りトレードに応じるかどうか疑問だ。
ロサンゼルス・ドジャースは一番資金力のあるチームだが、ストーブリーグでは敗戦続き。これはザック・グレインキーを失うことで始まった。岩隈久志との契約も破談になり、現時点で、クレイトン・カーショー以外の先発ローテはクエスチョンマークが残っている。
目立った動きはトッド・フレイジャーがホワイトソックスに移籍した3チーム間のトレードで、トレイス・トンプソン、ミカ・ジョンソン、フランク・モンタスを獲得したことくらいだ。このトンプソン獲得で、チームメイトとの不和説が流れているヤシエル・プイーグをトレード要員としてリリースすることが可能になったという。