メッツのワールドシリーズ進出が決まり、ニューヨークが久々に野球のポストシーズンで盛り上がっているという。
WS2015
ニューヨークを拠点に取材活動をつづけ、2003年4月8日、ヤンキースタジアムでの松井秀喜ホームデビュー戦満塁弾など球史に残る場面も遭遇している日本人ジャーナリストの報告が面白いので紹介したい。
ここでも紹介したニューヨーク・メッツがワールドシリーズに進出するのは、同じくニューヨークに拠点を置くヤンキースとのサブウエイシリーズとなった2000年以来15年ぶり。
ヤンキースが09年に世界一になっているが、ニューヨークにとってのワールドシリーズは、それ以来の6年ぶりだ。
両チームともポストシーズンに進出しなかった10月のニューヨークというのは、それはもう寂しかったらしい。
スポーツバーにプレイオフの試合を観に行っても、バーのテレビには、NBAやNHL、カレッジフットボールの中継ばかりだったらしい。NFLも9月から始まり、野球は完全に忘れられていたらしい。
しかし、今年は違う。野球好きのニューヨーカー達は、そんな寒い時期を乗り越えて、この時を待ちわびてたかのようにフィーバーしているという。
その証拠にメッツ本拠地シティフィールドで行われる第3、4、5戦の入場券は、野球の試合としては史上最高額の1試合平均約1660ドル(約20万円)に高騰している。
テレビ中継は、全試合が米東部時間午後8時台のプライムタイムに開始され、これはワールドシリーズ中継では史上初。
メッツのチームグッズも飛ぶように売れており、ミッドタウンのスポーツ用品販売店ではワールドシリーズ進出が決まったその夜、午前2時までグッズを求めるお客さんが並んだという。
考えてみればメッツのCSでの勝ちっぷりも良かった。ニューヨーク対シカゴという全米1,2の大都市対決。しかも全4戦で一度もシカゴ・カブスにリードを奪わせない素晴らしい試合運びを見せた。
対するカブスは、映画「Back To The Future 2」の予言で注目された2015年10月21日に、惜しくもその予言は外れることとなった。
しかもカブスの「ヤギの呪い」。そのヤギの名前は、全試合でホームランを放ってカブスを苦しめたマーフィー選手と同じ「マーフィー」だったというから都市伝説ファンも大喜びするようなオマケつきの笑えるストーリーだ。
こうしたポストシーズンフィーバーで、今やメッツのテリー・コリンズ監督(66)は地元ファンの間でカリスマ的ヒーローとなり、ファンから抱きつかれたりキスをされたりと大変なモテようだ。
07~08年のオリックス監督時代にはフロントや選手と対立し、お世辞にも好感度が高いとはいえなかったコリンズ。それが選手、メディア、ファンのすべてからもてはやされているというから驚きだ。
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