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【球団人事】エンゼルスが予想通りGMを解雇 水面下で動き出したストーブリーグ

 

球団人事

 

メジャーリーグではポストシーズン進出の16枠が確定。9月30日からワイルドカードが各地で開催されていくが、すでに2021年シーズンへ向けた編成が始まっている。

 

まずは、その前哨戦で、編成部門の刷新が行われるようだ。ここでもすでに予想していたとおりロサンゼルス・エンゼルスのビリー・エプラー・ゼネラルマネージャー(GM)が解雇されたことが、スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が伝えている。

 

ケン・ローゼンタール氏が自身のツイッターで紹介している。

 

 

ビリー・エプラー氏は、ヤンキースのスカウトやブライアン・キャッシュマンの右腕としてGM補佐を務めた後、2015年10月にエンゼルスのゼネラルマネージャーに就任。彼の就任後の5年間は、ほとんどがBクラスに甘んじ、功績といえば大谷翔平を獲得したぐらいだった。

 

トラウトやレンドーンとの多額の長期契約は、この後の推移を冷静に見ないと評価できないが、19年オフも地元出身のゲリット・コールの争奪戦に敗れ、プランBやCを用意してなかったため補強が後手に回った印象だった。この数年間は、先発ローテの編成に疑問符が多かった。

 

カナダのトロントに本拠を置くスポーツ専門サイト「the Score」のマイケル・ブラッドバーンが、2017年11月1日以降に各球団が行った補強(トレード、FA契約など)を査定して各球団のフロントオフィスを格付けしていた。それによればエプラー氏の評価は「グレードC+」と低かった。

 

 

2016年 西地区4位

2017年 西地区2位

2018年 西地区4位

2019年 西地区4位

2020年 西地区4位

 

 

エプラーGMの最大の「功労」は、大谷翔平の獲得。ここでもそれを最初に評価している。

 

1998年に導入されたポスティング制度開始以来、最多となる球団が参加した大谷翔平の争奪戦だったが、最終に残った7球団でエンゼルスは大穴だったと立教大学講師として教鞭をとる古内義明氏が紹介していた。

 

ロサンゼルスのセンチュリーシティーにあるCAAスポーツ(Creative Artists Agency)の代理人ネズ・バレロ氏から入団を伝える電話を受け取った瞬間、エプラーGMは椅子から転げ落ちたという。

 

話は多少脱線するが、エプラーGMメジャーリーグの世界に足を踏み入れたのは2000年のコロラド・ロッキーズのスカウト部門。その後、05年にヤンキースのスカウトに転職。そこでは故・伊良部秀輝の獲得に尽力したジーン・アフターマンGM補佐からも影響を受けたという。

 

14年にヤンキースがポスティング制度で田中将大を獲得した際、来日を重ねていたエプラー氏はヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMの右腕としての存在感を発揮していた。その年の10月にエンゼルスGM職に就任している。

 

人気球団で大都市をフランチャイズにすることから補強資金は潤沢にあるように思われがちだが、前任者がアルバート・プホルスと10年2億4000万ドルの長期契約を結んでおり、そうした負担も補強の足かせになっている。プホルスとの契約は21年終了まで残っている。 

 

 

トラウトの契約延長もプラス評価

 

現役メジャー最高選手の評価もあるマイク・トラウトと12年4億3000万ドルの契約延長に成功したことも大きな成果と評価されているが、それは今後10年間を経ないと答えは出ない。

 

トラウトの前後を埋める選手として29歳のアンソニー・レンドン三塁手と7年2億4500万ドルの契約は、今後の活躍を見ないとわからないだろう。

 

マイナス評価は、ここでも何度か指摘したマット・ハービー(1年1100万ドル)、トレバー・ケイヒル(1年900万ドル)の両先発投手との契約。中古車センターのガレージを見ているような先発陣だった。ブルペン補強のコディ・アレン(1年850万ドル)も酷かったが、1年契約ということで被害は最小限に抑えている。

 

そのほかの契約では、トミー・ラステラ内野手のトレードは成功だったが、ザック・コザート内野手の3年3800万ドルの契約は不良債権になった。

 

20年2月にドジャースとのトレードでジョグ・ピーダーソン外野手とロス・ストリップリング投手の交渉がご破算になったのは残念だった。

 

記事にないが、ジョー・マドン氏を新監督に招聘させたことも大きいような気がする。正確な時系列は確認していないが、マドン監督がカブスを辞めた次の日には、前任の監督を1年で解雇して、マドン氏獲得へ動いていたというイメージがある。