毎年汗ばむ季節になると調子を上げてくるカブスの先発右腕ダルビッシュ有だが、この夏は7月後半にシーズンが始まるという変則「60試合制」のMLBで圧巻の投球を続けている。
そのダルビッシュのここまでの投球内容を公表されているデータをもとに振り返ってみた。
■7月31日(日本時間8月1日)今季2試合目の先発
ホーム 対パイレーツ戦
投球回数6回 失点0 被安打2 与四球1 奪三振7 WHIP0.90 防御率2.70 1勝1敗
■8月5日(日本時間8月6日)今季3試合目
ビジター 対ロイヤルズ戦
投球回数7回 失点1 被安打5 与四球1 奪三振4 WHIP088 防御率2.12 2勝1敗
■8月13日(日本時間8月14日)今季4試合目
ホーム 対ブルワーズ
投球回数7回 失点1 被安打1 与四球2 奪三振11 WHIP075 防御率1.88 3勝1敗
■8月18日(日本時間8月19日)今季5試合目
ホーム 対カージナルス
投球回数6回 失点1 被安打8 与四球1 奪三振7 WHIP090 防御率1.80 4勝1敗
■8月23日(日本時間8月24日)今季6試合目
ホーム 対ホワイトソックス
投球回数7回 失点1 被安打6 与四球1 奪三振10 WHIP092 防御率1.70 5勝1敗
■8月29日(日本時間8月30日)今季7試合目
ビジター 対レッズ
投球回数7回 失点0 被安打7 与四球2 奪三振8 WHIP092 防御率1.47 6勝1敗
■9月4日(日本時間9月5日)今季8試合目
ホーム 対カージナルス
投球回数7回 失点1 被安打1 与四球0 奪三振11 WHIP088 防御率1.44 7勝1敗
8試合の先発で、ここまで7連勝。しかし、勝利数よりも圧巻なのは、7試合連続のクオリティスタート(QS)で、そのうち7回を自責点2というハイクオリティスタート(HQS)が4試合もあること。
その結果、防御率1.44はア・リーグで1位。FIP2.00。奪三振数は63でリーグ1位だが、この数はそのポテンシャルからすればむしろ少ないぐらいだろう。キャリア平均で奪三振率11.1だから今季の奪三振率11.3は彼の平均的な数値といえる。
それよりも四球数も1試合平均1.4で、WHIP0.88。それは投球内容の「安定感」を示している。
ここまでで球種別にはファーストボールが23.9%、平均球速95.6マイル。スライダー15.6、平均球速82.0マイル。カットボール39.0%、平均球速86.9マイル。カーブが13.5%、球速72マイル。チェンジアップ3.0%、平均球速89.3マイル。スプリット5.0%、平均球速90.8マイル。
ファングラフスのデータだが、実際には球種が増えたという報告もある。
本塁打もここまで3本しか打たれてない。ボールの種類が変わって本塁打数が増加しているメジャーで40イニング以上投げて被本塁打3本以下という投手は、メッツのジェイコブ・デグロームとダルビッシュ有だけだ。それが「圧巻」というイメージを与えている。
いくら好投していてもホームランばかり打たれていたら「圧巻」というイメージは薄くなる。多くの打者がダルビッシュの投げ込む多彩な変化球を芯で捉えきれていない証拠だ。
さらに、イメージだけで言えばホームで5勝1敗、防御率1.70は熱狂的なカブスファンを酔わせている。本当はビジターでも2勝0敗、防御率0.69と圧倒的なのだが...。ホームで勝つことはチームとファンから信頼を得る直道だろう。