MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

NPB 独禁法違反の疑いのある「田澤ルール」撤廃へ

 

NPB日本野球機構)は7日、ドラフトを拒否してメジャーリーグ球団と契約した選手が日本に戻っても、プロ野球の球団と一定期間(社会人・大卒なら2年間、高卒なら3年間)契約できない、いわゆる「田澤ルール」を撤廃することを決めた。

 

 

独占禁止法に抵触する恐れもある「田澤ルール」

 

 

どういう事?その経緯は?

 

アマ時代の2008年、新日本石油ENEOSに所属していた田澤純一は、「1位指名確実」と呼ばれるドラフトの注目選手だったが、同年9月11日、NPBを経由せずに直接渡米し、メジャーリーグに挑戦する意思を表明。プロ野球12球団にドラフト指名を見送るよう求める文書を送付。

 

結果的に同年ドラフトで田澤は指名されず、12月4日にMLBボストン・レッドソックスと契約。翌年メジャーデビューを果たしている。その後、田澤純一レッドソックスでの活躍は、このブログでも様々な記事で紹介した。

 

レッドソックス時代の田澤は、セットアッパーとして大事なシーンに登場し、チームの勝利に貢献。16年にはブルペンの中心投手として通算300試合に登板。MLBフリーエージェント(FA)の権利を獲得し、16年オフにマイアミ・マーリンズと2年1200万ドル(約12億円)でFA契約、18年に自由契約になり18年タイガース、エンゼルス、19年カブス、レッズと各マイナー契約

 

 

しかしながらメジャーでの登板機会はなく、帰国して20年7月13日、ルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに入団することを発表した。

 

 

メジャー帰りは日本球界にとっても価値ある選手

 

これほどメジャーリーグで実績を残した投手が、帰国後に入団先したチームがNPBではなくが独立リーグであることには理由がある。日本のプロ野球NPB)には、彼を阻む不可思議な“田澤ルール”があったからだ。

 

ただ、そのルールには問題が多い。、NPBが定める新人選手選択会議規約にも、日本プロフェッショナル野球協約にも確認したところ特に記載がない。明確な規定は10年以上たった今でも定められておらず、単なる12球団の「申し合わせ事項」にすぎないのだ。

 

選手会は現在もホームページで明確に反対を表明している。

 

 

選手会は当然ながら反対の姿勢

 

NPBは、選手会に対して、このルール設定について、将来のNPBを背負う優秀な選手が海外に流出するのを防ぐため、やむを得ない措置だと説明しています。

 

もちろん選手会も優秀な選手がNPBに入ってきてくれることを望んでいますが、NPBが導入したこの復帰制限ルールは、プロ野球選手が、日本のプロ野球球団と契約し、年俸を得るという経済活動を著しく制限することから、独占禁止法上明らかに違法であり、選手会は、NPBに対して、このルールの撤廃を求めています。

 

出典:「日本プロ野球選手会 公式ホームページ」

 

これでは、単なる嫌がらせにしか過ぎない。筆者もすぐに頭に浮かんだのは独禁法に抵触しているのでは?ということだった。

 

このルールができた背景には「人材流出によるNPB人気の低下、不利益につながる」と考えられたことが最大の理由だが、これによりアマチュアからチャレンジして海を渡りメジャーリーガーにまで上り詰めた実績と経験のある選手を、NPBは自ら締め出してしまった。

 

 

「日本球界にとって大きな財産となる」と問題点を指摘している

 

このルールの問題点を「REAL SPORTS」では5つの問題点として鋭く指摘しているので興味のある方は下記を参照していただきたい。

 

その記事では「むしろ(こうした選手は)歓迎すべき。その技術や経験は日本球界にとって大きな財産となる」と結論付けている。筆者も同感だ。

 

そしてNPB自身が「メジャーよりも魅力のあるリーグになること」があるべき姿、と提言している。

 

田澤自身がルールの撤廃に感謝の意を表明しているので、これ以上ごちゃごちゃ言いたくもないが、最後にルートインBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズの監督さんのSNSを紹介したい。

 

こういう姿勢でNPBも元メジャーリーガーを受け入れてやるべきだ。

 

 

▽Information source

 

 

日本プロ野球入団を阻む“田澤ルール”──注視される独占禁止法上の問題

 

REAL SPORTS