2月になって球音が近づいてきた。これまでメジャーリーグ2018年オフのフリーエージェント(FA)市場を紹介してきたが、今回は、「オープナー」や「ブルペンデー」など、トレンドともいえる起用法が注目され、その分、需要が増えてきた救援投手編を紹介したい。第3弾になる。
MLB移籍情報
全体的な概況は、今オフもフリーエージェント(FA)の選手たちにとっては厳しい状況。FA契約は、オフの最初の50日間で5.2%しかメジャー契約が決まっていなかった。
昨オフもFA市場は冷え込んだ。ジェイク・アリエッタ、J.D.マルティネス、エリック・ホズマー、ダルビッシュ有ら有力選手もなかなか決まらず、スプリングトレーニング直前に決まった選手も多かった。
しかし、それでも最初の50日間でFA契約は5.5%で今オフよりはマシだったということになる。
約80名ほどいるFAの救援投手。マイナーも含めて移籍先が決まったのは約40名。メジャー契約だけを見ると20名ほどになる。
ロイヤルズやロッキーズでクローザーを務めたグレッグ・ホランド。15年9月にトミー・ジョン手術を受け、復活を果たした17年にはロッキーズの守護神としてリーグ最多タイの41セーブでセーブ王に輝いた。
このポジションは、特に好きなので注目して選手を見ていたが、17年のロッキーズの開幕ダッシュはホランドがいたことが大きかった。カムバック賞にも輝いた。
その後、カージナルスと1年1400万ドルで契約。しかし、調子が出ず8月にはナショナルズへトレードされた。ナショナルズでは24試合で防御率0.82、奪三振率10.55とバウンスバックしている。
MLBネットワークのジョン・ヘイマンによると今回の契約は、大幅にダウンして年俸350万ドルとインセンティブが最大350万ドルの計700万ドルになっているようだ。
この350万ドルという額は、今オフのFA救援投手では13番目の契約額だ。ちなみに最高額はヤンキースと再契約のザック・ブリットンで3年3900万ドル。
ホランドは、ダイヤモンドバックスで平野佳寿と共にブルペンのキープレイヤーとしてクローザーを任されることになりそうだ。
《移籍先が決まった主なFA救援投手》
()内は前所属チーム
ジェウリス・ファミリア(アスレチックス)→メッツ
アンドリュー・ミラー(インディアンス)→カージナルス
ホアキム・ソリア(ブルワーズ)→アスレチックス
コディー・アレン(インディアンス)→エンゼルス
オリバー・ペレス(インディアンス)→インディアンス
《残っている主なFA救援投手》
クレイグ・キンブレル(レッドソックス)
セルジオ・ロモ(レイズ)
バド・ノリス(カージナルス)
タイラー・クリッパード(ブルージェイズ)
ジェイク・ディークマン(ダイヤモンドバックス)
トニー・シップ(アストロズ)
ザック・デューク(マリナーズ)
トニー・バーネット(レンジャーズ)
ジェリー・ブレビンス(メッツ)
AJラモス(メッツ)
アーロン・ループ(フィリーズ)
ジム・ジョンソン(エンゼルス)
ジョニー・ベンタース(ブレーブス)
残っているリリーバーで、パワーランキングを付けるとすれば、レッドソックスの守護神クレイグ・キンブレルが最も高い評価だろう。
今季31歳になるキンブレルは、最多セーブ投手に4回輝いており、11年から8年連続でシーズン30セーブ以上を記録。5月5日には、史上最年少(29歳11か月)で通算300セーブを達成した。
ただ、一時の球速は無くなったし、制球力も与四球率(BB/9)4.48と悪化。防御率は2.74だがFIP3.13でキャリアワーストだった。8年連続で57試合以上に登板。そろそろ疲労が出てきてもおかしくない時期だ。
A.チャップマンが5年8600万ドル、K.ジャンセンが5年8000万ドルで、30歳前後で年平均1600万~1700万ドルの年俸を手にしており、キンブレルも同程度の年俸を希望しているとみられる。
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