MLB移籍情報
MLBの2018年から2019年にかけてのフリーエージェント(FA)市場動向を紹介。今回は、救援投手編の第2弾。
救援投手情報の第2弾
全体的には、今オフもフリーエージェント(FA)の選手たちにとっては厳しい状況。FA契約は、オフの最初の50日間で5.2%しかメジャー契約が決まっていなかった。
昨オフもFA市場は冷え込んだ。ジェイク・アリエッタ、J.D.マルティネス、エリック・ホズマー、ダルビッシュ有ら有力選手もなかなか決まらず、スプリングトレーニング直前に決まった選手も多かった。
しかし、それでも最初の50日間でFA契約は5.5%で今オフよりはマシだったということになる。
約80名ほどいるリリーバーたちだが、このポジションも動きが鈍い。「オープナー」や「ブルペンデー」など、トレンドともいえるリリーバーの起用法が注目され、その分、需要はあるはずだが、なかなか決まらず、買いたたかれる可能性がある。
デービッド・ロバートソンがフィリーズと2年契約
ヤンキースのブルペンを支えた右腕デービッド・ロバートソンがフィリーズと2年総額2300万ドルで合意した。3年目の2021年の契約も年俸1200万ドルの球団オプション、またはバイアウト200万ドルになっているという。
33歳のロバートソンは、昨季ヤンキースで69試合に登板して8勝3敗、5セーブ、21ホールド、防御率3.23、奪三振率11.76をマーク。クローザー、セットアッパーとも経験豊富で、当初はヤンキースと再契約するものと思われていた。
ただ、ヤンキースは、ロバートソンと再契約すれば、ベタンセスと2人のセットアッパーを有することになり、さすがにヤンキースと言えどもそれは避けたのかもしれない。
《移籍先が決まったFA救援投手》
()内は前所属チーム
ジェウリス・ファミリア(アスレチックス)→メッツ
アンドリュー・ミラー(インディアンス)→カージナルス
ホアキム・ソリア(ブルワーズ)→アスレチックス
以上がメジャー契約。ほかにマイナー契約が数人
《残っている主なFA救援投手》
クレイグ・キンブレル(レッドソックス)
ザック・ブリットン(ヤンキース)
コディ・アレン(インディアンス)
セルジオ・ロモ(レイズ)
バド・ノリス(カージナルス)
オリバー・ペレス(インディアンス)
ジェイク・ディークマン(ダイヤモンドバックス)
トニー・シップ(アストロズ)
ブラッド・ブラック(ブレーブス)
ザック・デューク(マリナーズ)
タイラー・クリッパード(ブルージェイズ)
ショーン・ケリー(アスレチックス)
トニー・バーネット(レンジャーズ)
アーロン・ループ(フィリーズ)
ジョニー・ベンタース(ブレーブス)
ジョン・アックスフォード(ドジャース)
ジェリー・ブレビンス(メッツ)
ライアン・マドソン(ドジャース)
ザック・マカリスター(ドジャース)
ブレイク・ウッド(エンゼルス)
ダニエル・ハドソン(ドジャース)
ホルヘ・デラローサ(カブス)
ジェンマー・ゴメス(ホワイトソックス)
AJラモス(メッツ)
ジム・ジョンソン(エンゼルス)
マット・ベライル(ツインズ)
ランドール・デルガード(ダイヤモンドバックス)
ブラッド・ジーグラー(ダイヤモンドバックス)
ピーター・モイラン(ブレーブス)
アダム・オッタビーノ(ロッキーズ)
マーク・マランソン(ジャイアンツ)※オプトアウト可
キンブレルの移籍先は?
残っているリリーバーで、パワーランキングを付けるとすれば、レッドソックスの守護神クレイグ・キンブレルが最も高い評価だろう。
来季31歳になるキンブレルは、最多セーブ投手に4回輝いており、2011年から8年連続でシーズン30セーブ以上を記録。5月5日には、史上最年少(29歳11か月)で通算300セーブを達成した。
ただ、一時のスピードは無くなったという気もするし、制球力も与四球率(BB/9)4.48と悪化。防御率は2.74だがFIP3.13でキャリアワーストだった。8年連続で57試合以上に登板。そろそろ疲労が出てきてもおかしくない時期だ。
A.チャップマンが5年8600万ドル、K.ジャンセンが5年8000万ドルで、30歳前後で年平均1600万~1700万ドルの年俸を手にしており、キンブレルも同程度の年俸を希望しているとみられる。
ザック・ブリットンは?
ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマン氏によるとレッドソックスがザック・ブリットンの獲得に積極的に動く可能性があるという。
ブリットンは、昨年、今年と故障に泣いたこともあり、オリオールズが7月に放出、ヤンキースでは勝ちゲームの7回と8回で起用されていた。
ブリットンの代理人であるスコット・ボラス氏は「クローザー」として売り込んでいるらしい。ヤンキースのクローザーはチャップマンで3年4500万ドルが残っているので、レッドソックスがブリットンを獲得する可能性はある。
ブリットンは、シーズン中のトレードだったためにクオリファイング・オファーの対象外で、レッドソックスが契約してもドラフト指名権を失うことはない。オフに受けたアキレス腱手術の影響でシーズン初登板は6月と出遅れたが、ヤンキース移籍後は数字が回復している。
しかもブリットンの331試合の登板は全てア・リーグ東地区で、この地区は打者有利のスタジアムが多く、そこでの投球術を彼は会得している。
具体的には、ゴロに打たせて取る比率(GO/AO)が、2014年から2017年にかけて5.95、7.31、7.86、6.70と高い数値をキープしている。ヤンキース移籍後の25試合でも5.00と高い。奪三振率が、2015年の10.83からは低下しているのが、懸念材料だが、それでも2018年は7.47を記録している。
そうした理由からジョエル・シャーマン氏は、レッドソックスがキンブレルと再契約しない場合は、ザック・ブリットンにクローザーを任す可能性があるとみている。