大谷の登板を早朝から見守った野球ファンも多かったに違いない。祈るような思いで23歳右腕の2戦目を観ていたが、アスレチックスの7回の攻撃までパーフェクトの内容で、44,742人の観客を熱狂させた。
大谷翔平NEWS
7回完封12奪三振
7回を投げて1安打1四球12奪三振、無失点。6回終了時点では完全試合だった。
観客が湧いたのは91球中、25も奪った空振りで、12奪三振も全てスイングアウトによるものだったことだ。
これだけ分かりやすいパフォーマンスを見せつけられたら、たとえルールを知らなくても、初めて観た人でも誰が優位にゲームをしていることが分かるというものだ。
野球ファンならご存知だと思うが、MLBでは2014年から導入されたStatcastというトラッキングシステムを活用してデータを習得し、数値化・可視化している。(ミサイル追尾用に開発された軍事システムの転用)
それによれば、大谷の第1戦でのフォーシームは、スピンレート(回転数/分)2219。これは平均的な数値で、マックス・シャーザーやダルビッシュ有のように2500回転を超える程ではない。
軌道も右に20.4センチ、縦は39センチで平均的だったという。
では、どうして、あの圧巻の「奪三振ショー」を演出できたのか。それは、スプリットとフォーシームの軌道が同一で見きわめにくいからだという。
打者からすればコミットポイントまで同じで、そこから変化するのでバットが回ってしまう。スプリングトレーニングでは、球速160キロは出ても動かないから捉えられると言われた大谷のフォーシームは、同一軌道のスプリットとセットになって威力を増す。
野茂英雄の時もそうだった。1年目はシーズン236三振を奪った。ただ、野茂よりもフォーシームに球速がある分だけ、打者からすれば、スプリットを待っていれば「差し込まれる」という恐怖がある。これは厄介なことだろう。
注文を付けるとすれば、4回の先頭打者に投じた68.5マイルのカーブをもっと使って欲しい気がするが、これは今後の楽しみにしたい。
さらに、投球内容を見てみると91球(ストライク59球)のうち、23人の打者に対して(初球に手を出して凡打した2人を含めて)15人から初球ストライクを奪っている。
この初球ストライクは、マイナー時代からレクチャーされる基本的なメジャーのセオリー。
もちろん、ど真ん中に投げて痛打されれば意味はない事は言うまでもないが、「打たれないで初球ストライク」を奪う技術は、球数制限の厳しいメジャーでは、大事なポイント。仮に23人の全員にボールから入れば23球の球数(約1イニング分)を無駄に費やすことになる。
メジャーでは、6回3失点ならクオリティスタートで先発ローテーション投手だが、5回3失点ならマイナー行きという世界だからだ。
大谷も試合後のインタビューで「ストライクの先行」を好投のポイントにあげていた。この初球のかけ引きをメジャーリーグを観戦する上で注目している。これによって勝負にスピード感が出てくるように感じる。
大谷翔平の開幕からのスタッツは、下の公式Twitterを参考にしていただきたい。
Shohei Ohtani is the best story in sports right now. pic.twitter.com/WMtcyMzRJ7
— MLB (@MLB) 2018年4月9日