スプリングトレーニングを前にスポーツメディアによる様々なシーズン予想が飛び交うが、ほとんどがセイバーによる机上の空論が多い。
一部の知ったかぶりをしたデータオタクたちが盛り上がるのを冷めた目で見てしまうのは筆者だけではないだろう。
そのレベルの記事として見てみるとスポーツ専門サイト『Bleacher Report』が予想した、2016年シーズンのプレイオフに進出するチームを予想した記事が面白い。
そこには100%といえば大げさだが、99%はあり得ないマイアミ・マーリンズが、ワイルドカードでポストシーズンに駒を進めるとした記事があった。
マーリンズといば評判の悪いオーナーで有名な万年Bクラスのチーム。フロリダ・マーリンズ時代の2003年に世界一に輝いて以来、プレイオフから遠ざかっている。
昨シーズンもマイク・レドモンド監督をシーズン序盤に早々と解任し、代わりにコーチ経験もないダン・ジェニングズGMが後を引き継ぐなどの騒動もあった。
案の定、20敗も借金を背負う71勝91敗でシーズンを終えた。
『Bleacher Report』は、同球団オーナーの ローリア氏について、“クレイジー”なことをする危険があるとしながらも、今季の指揮官として前ロサンゼルス・ドジャース監督のドン・マッティングリー氏を迎えたことを高く評価。
エース右腕ホセ・フェルナンデス投手、大砲ジャンカルロ・スタントン外野手などメジャー屈指の選手を擁する、若いチームの舵を上手く取るだろうという楽観過ぎるどうでもいいような予測をしている。
おそらく中地区のシカゴ・カブスが、 マッドン監督が就任して5年連続地区最下位からワイルドカードでプレイオフ進出といった例をイメージしたのだろう。
地区優勝ではなく、「ワイルドカード」という予想が笑えるところで、さすがに「地区優勝」という無謀な予想になってはいないが、逆にワイルドカードほど予想を立てにくいので、99%無いと言いたい。
確かに、昨年のアストロズのような前半の快進撃はあるかもしれない。ゼロではない。しかし、左腕チェン・ウェインの加入ぐらいがチームのプラス材料で、評価できる変化はない。
左中間のフェンスを前に出して多少はホームランが増えるだろうが、それは逆に非力な投手陣を苦しめることにもつながる。同地区のナッツやメッツを上回る根拠にはなりえない。
ただ、昨年の中地区のように地区3位で「ワイルドカード」という可能性は多少は残る。
イチローがバウンスバックすれば、ゴードン1番、イチロー2番で、あとのイエリッチ、スタントンあたりが何とかしてくれそうな気もする。ただ、細かい野球をできるチームではない。
ロイヤルズを見てもわかるように、長いシーズンを勝ち抜くのは投手を含めた守備力が大きなファクターになる。
マーリンズがスポーツニュースのヘッドラインを飾るのは「イチロー3000本」ぐらいだろう。シアトル時代も閑古鳥が鳴くシーズン終盤でもイチロー見たさにファンは集まった。
なお、ナ・リーグ各地区の優勝予想は、NL東地区がワシントン・ナショナルズ、中地区が今オフに川崎宗則内野手を獲得したシカゴ・カブス、西地区がサンフランシスコ・ジャイアンツだと見ている。こちらの方は、常識的な無難な予想と言える。
また、ワイルドカード残り1枠は、前田健太投手と長期契約を結んだドジャースだろうとした。
※これは2月3日の再ポストです。