レイズは16日(日本時間17日)、フロントオフィスの人事異動を発表。内部昇格で新GMにピーター・ベンディックス氏が昇進することを発表している。
レイズの球団人事
タンパベイの地元紙「タンパベイ・タイムズ」のWebサイトによると、ウィル・カズンズ氏、チャンドラ・ローダーミルク氏にカルロス・ロドリゲス氏を加えた3人を編成部門の副本部長に任命。
エリック・ニアンダー編成本部長の下で新GMとしてピーター・ベンディックス氏と3人の副本部長を加えた5人体制で編成を進めていくことになる。
ニアンダー編成本部長は「近年のチームの成功に大きな貢献をしてきた人物であり、GMへの昇進に相応しい」と高く評価。
ベンディックス氏は「本当に光栄なのは、組織が私を信頼し、組織が私にこの機会を与えてくれ、そして私がこれらの素晴らしい人々と仕事をすることができるということです。」とコメントしている。
Updated story on #Rays promoting Bendix to GM, how it will work with Neander, plus more on other promotions today https://t.co/EL6z2D3DSM
— Marc Topkin (@TBTimes_Rays) December 16, 2021
1998年に誕生したタンパベイ・レイズはフロリダ半島の地方都市タンパベイにフランチャイズを置く球団だが、スモールマーケットゆえにスモール・バジェット(低予算)でも有名な球団だ。
2021年最終のペイロールを比較してもエンゼルスの1億8200万ドル(約207億円)に対して半分以下の8400万ドル(約95億円)だった。2億ドル(約227億円)を超えるヤンキースやドジャースとはもっと格差がある。
そんな低年俸でもシーズン90勝以上は2008年から2019年までの12年間でドジャースが最多の8度、それに次ぐのがレイズで7度。エンゼルスに至っては1度(2014年)しかない。
レイズの強さはスタンバーグ氏のフロント人材を見抜く目
この強さは2004年に経営権を引き継いでオーナーになったニューヨーク・ウォール街出身の投資家スチュアート・スターンバーグ氏の人材を見抜く目利きの良さだろう。
彼は、同じウォール街の出身の若手金融マンを編成部門のトップに起用したことは有名なはなしだ。
その代表格が現ドジャース編成本部長のアンドリュー・フリードマン氏だろう。レッドソックスが、デーブ・ドンブロウスキー氏を解雇してチーフ・ベースボール・オフィサー(通称CBO)として招聘したチェイム・ブルーム氏もレイズ出身だ。
レイズのスターンバーグ・オーナーは数字に強い人材をトップに起用して、データを駆使する戦略に徹した。これは資金力豊富な球団に対抗するためだった。
その戦略で結果が出たのが2008年。誕生から10年連続で負け越したレイズだったが97勝で初の地区優勝。メジャー2年目で1番に定着した岩村明憲らの活躍でア・リーグのリーグ優勝を成し遂げた。
その後は2010、2011、2013年にポストシーズン進出を果たし、2019年からも3シーズン連続でポストシーズンに進出している。一方、エンゼルスは、この12年間で2014年に地区優勝しただけだ。
アストロズもデータ重視で成功している。2011年から3年連続でシーズン100敗以上を記録(2013年は111敗)したが、戦略を変えてから7年間で6度ポストシーズンに進出、ワールドシリーズにも3度コマを進めた。
データを使いこなすのは人。監督を筆頭にコミュニケーション能力に優れたフロントオフィスの首脳や現場の監督、コーチ陣がいて選手個々がそれらを理解して生きてくるものだ。
レイズの新体制がどんな躍進を見せるか、MLB全体が注目していることだろう。とくにメッツやエンゼルスのオーナーはレイズのスチュアート・スターンバーグ・オーナーを見習った方がいいかもしれない。