MLB2020-21 オフ
メジャーリーグのディープファンなら、そろそろ気になるのが来季のチーム編成。以前も紹介したが、クオリファイング・オファーの詳細を再アップした。
- MLB2020-21 オフ
シーズンオフの動きに影響を与えるのが、クオリファイング・オファー各選手の動向だろう。
また、どの球団がどの選手と契約を延長するのか「オプションの行使は?」「ノンテンダーFAは?」などなど、ワールドシリーズは続いているが、終了後は寒い季節にアツいストーブリーグが始まる。
クオリファイング・オファー(QO)は1840万ドル
2021年オフのクオリファイング・オファー(QO)は1840万ドル (約20億2000万円)になるという。「ESPN」のバスター・オルニーが12日(日本時間13日)、自身のツイッターで今オフのQO提示額が1840万ドルに決まったことを伝えている。
Sources: MLB clubs have been informed that the qualifying offer for free agents this winter is set at $18.4 million. That's down slightly from $18.9 million QO of last winter. Free agents extended a QO will accept or reject before the expiration of the current CBA Dec. 1.
— Buster Olney (@Buster_ESPN) October 12, 2021
■バイエズ、ブライアントらはQOの制約なしにFA市場に!
昨年の1890万ドルから50万ドルのダウン。今の時点では誰が提示されるかわからないが、シーズン途中に移籍した選手は対象外となるため、スターリング・マーテイ、クリス・ブライアント、ハビアー・バイエズ、アンソニー・リゾ、カイル・シュワーバーといった有力選手たちはQOを提示されることなくFA市場で各球団と制約なしで交渉できる。
これまでのQOの推移
この制度はその年の年俸上位125選手の平均額を規定額とし、球団からの提示を拒否したFA選手を獲得した他球団は翌年のドラフト上位指名権を元所属球団に譲渡しなければならないという制約があり、FA選手の無償による不公平な流出を防ぐために2012年から導入された。
年々増加傾向にあったが2019年は10万ドルの減額で、ダウン提示は今回が2度目。
2012年オフ 1330万ドル
2013年オフ 1440万ドル
2014年オフ 1530万ドル
2015年オフ 1580万ドル
2016年オフ 1720万ドル
2017年オフ 1740万ドル
2018年オフ 1790万ドル
2019年オフ 1780万ドル(初の減額)
2020年オフ 1890万ドル(過去最高)
2021年オフ 1840万ドル(2度目の減額)
有力選手が多いのでQO提示選手の動向は、移籍市場に影響を及ぼすことが多い。昨季までQOを提示された選手は96人で、受け入れた選手はわずか10人しかいない。
昨年は6人と少なくメッツのマーカス・ストローマン投手がQOを受け入れ、ジャイアンツのケビン・ゴーズマン投手も受託。トレバー・バウアー(レッズ)、J.T.リアルミュート(フィリーズ)、D.J.ルメイヒュー(ヤンキース)、ジョージ・スプリンガー(アストロズ)の4人が拒否して他球団と契約した。
■過去には黒田や岩隈も提示された
これまで日本人選手ではヤンキースの黒田博樹が2012年と13年に球団の提示を拒否した後、規定額より高い年俸で再契約し、マリナーズの岩隈久志は2015年に提示を拒否した結果、規定額より低い年俸で合意している。
提示された選手はFA契約の足かせになることが多かったが、その後のMLB機構側とMLB選手会の労使協定(CBA)で緩和され、レベニュー・シェアリングの対象チームは、「上位3番目の指名権」を失うなど、下記のように改定された。また、シーズン途中の移籍選手や過去に提示された選手は対象外になることも決められた。
▼改定後のクオリファイング・オファーの規定
QOを拒否した選手を獲得するチームは以下のような補償を支払う
①前シーズンにぜいたく税の基準を超過したチーム
「上位2番目と5番目の指名権」「インターナショナル・ボーナスプールの100万ドル」を失う。
②前シーズンにぜいたく税の基準内で、レベニュー・シェアリングの対象外チーム
1巡目より後に保有する指名権の「上位2番目の指名権」と「インターナショナル・ボーナスプールの50万ドル」を失う。もう一人同様の選手と契約した場合には3番目の指名権を失う。
③レベニュー・シェアリングの対象チーム
「上位3番目の指名権」を失う。
■これまでのQOは? 拒否・受託者数
2013年:1330万ドル(9名)全員拒否
マイケル・ボーン OF ATL 拒否→CLE:4年4800万ドル
ジョシュ・ハミルトン OF TEX 拒否→LAA:5年1億2500万ドル
黒田博樹 SP NYY 拒否→NYY:1年1500万ドル
アダム・ラローシュ 1B WSH 拒否→WSH:2年2400万ドル
カイル・ローシュ SP STL 拒否→MIL:3年3300万ドル
デビッド・オルティーズ DH BOS 拒否→BOS:2年2900万ドル
ラファエル・ソリアーノ RP NYY 拒否→WSH:2年2800万ドル
ニック・スウィッシャー OF/1B NYY 拒否→CLE:4年5600万ドル
B.J.アップトン OF TBR 拒否→ATL:5年7250万ドル
2014年:1410万ドル(13名)全員拒否
ロビンソン・カノ 2B NYY 拒否→SEA:10年2億4000万ドル
黒田博樹 SP NYY 拒否→NYY:1年1600万ドル
カーティス・グランダーソン OF NYY 拒否→NYM:4年6000万ドル
マイク・ナポリ 1B BOS 拒否→BOS:2年3200万ドル–
ジャコビー・エルズベリー OF BOS 拒否→NYY:7年1億5300万ドル
スティーブン・ドリュー SS BOS 拒否→BOS:1年1009万ドル
アービン・サンタナ SP KCR 拒否→ATL:1年1410万ドル
ウバルド・ヒメネス SP CLE 拒否→BAL:4年5000万ドル
ブライアン・マッキャン C ATL 拒否→NYY:5年8500万ドル
ネルソン・クルーズ DH TEX 拒否→BAL:1年800万ドル
ケンドリス・モラレス DH SEA 拒否→MIN:1年754万ドル
カルロス・ベルトラン OF STL 拒否→NYY:3年4500万ドル
2015年:1530万ドル(12名)全員拒否
マックス・シャーザー SP DET 拒否→WSH:7年2億1000万ドル
ビクター・マルティネス DH DET 拒否→DET:4年6800万ドル
ハンリー・ラミレス SS LAD 拒否→BOS:4年8800万ドル
パブロ・サンドバル 3B SFG 拒否→BOS:5年9500万ドル
ジェームズ・シールズ SP KCR 拒否→SDP:4年7500万ドル
ラッセル・マーティン C PIT 拒否→TOR:5年8200万ドル
ネルソン・クルーズ DH BAL 拒否→SEA:4年5700万ドル
デビッド・ロバートソン RP NYY 拒否→CHW:4年4600万ドル
アービン・サンタナ SP ATL 拒否→MIN:4年5500万ドル
フランシスコ・リリアーノ SP PIT 拒否→PIT:3年3900万ドル
メルキー・カブレラ OF TOR 拒否→CHW:3年4200万ドル
マイケル・カダイヤー OF COL 拒否→NYM:2年2100万ドル
2016年:1580万ドル(20名)拒否16名・受諾3名・再契約1名
ブレット・アンダーソン SP LAD 受諾→LAD:1年1580万ドル
チェン・ウェイン SP BAL 拒否→MIA:5年8000万ドル
クリス・デービス 1B BAL 拒否→BAL:7年1億6100万ドル
イアン・デズモンド SS WSH 拒否→TEX:1年800万ドル
マルコ・エストラーダ SP TOR 再契約→TOR:2年2600万ドル
デクスター・ファウラー OF CHC 拒否→CHC:1年1300万ドル
ヨバニ・ガヤルド SP TEX 拒否→BAL:2年2200万ドル
アレックス・ゴードン OF KCR 拒否→KCR:4年7200万ドル
ザック・グレインキー SP LAD 拒否→ARI:6年2億650万ドル
ジェイソン・ヘイワード OF STL 拒否→CHC:8年1億8400万ドル
岩隈久志 SP SEA 拒否→SEA:1年1200万ドル
ハウィー・ケンドリック 2B LAD 拒否→LAD:2年2000万ドル
イアン・ケネディ SP SDP 拒否→KCR:5年7000万ドル
ジョン・ラッキー SP STL 拒否→CHC:2年3200万ドル
ダニエル・マーフィー 2B/3B NYM 拒否→WSH:3年3750万ドル
コルビー・ラスマス OF HOU 受諾→HOU:1年1580万ドル
ジェフ・サマージャ SP CHW 拒否→SFG:5年9000万ドル
ジャスティン・アップトン OF SDP 拒否→DET:6年1億3275万ドル
マット・ウィータース C BAL 受諾→BAL:1年1580万ドル
ジョーダン・ジマーマン SP WSH 拒否→DET:5年1億1000万ドル
2017年:1720万ドル(10名)拒否8名・受諾2名
マーク・トランボ OF BAL 拒否→BAL:3年3750万ドル
ジェレミー・ヘリクソン SP PHI 受諾→PHI:1年1720万ドル
ヨエニス・セスペデス OF NYM 拒否→NYM:4年1億1000万ドル
ニール・ウォーカー 2B NYM 受諾→NYM:1年1720万ドル
エドウィン・エンカーナシオン DH TOR 拒否→CLE:3年6000万ドル
ホセ・バティスタ OF TOR 拒否→TOR:1年1850万ドル
イアン・デズモンド SS TEX 拒否→COL:5年7000万ドル
デクスター・ファウラー OF CHC 拒否→STL:5年8250万ドル
ケンリー・ジャンセン RP LAD 拒否→LAD:5年8000万ドル
ジャスティン・ターナー 3B LAD 拒否→LAD:4年6400万ドル
2018年:1740万ドル(9名)全員拒否
ジェイク・アリエッタ SP CHC 拒否→PHI:3年7500万ドル
ロレンゾ・ケイン OF KCR 拒否→MIL:5年8000万ドル
アレックス・カッブ SP TBR 拒否→BAL:4年5700万ドル
ウェイド・デービス RP CHC 拒否→COL:3年5200万ドル
グレッグ・ホランド RP COL 拒否→COL:1年1400万ドル
エリック・ホズマー 1B KCR 拒否→SDR:8年1億4400万ドル
ランス・リン SP STL 拒否→MIN:1年1200万ドル
マイク・ムスターカス 3B KCR 拒否→KCR:1年650万ドル
カルロス・サンタナ 1B CLE 拒否→PHI:3年6000万ドル
2019年:1790万ドル(7名)拒否6名・受諾1名
クレイグ・キンブレル RP BOS 拒否
パトリック・コービン SP ARI 拒否
ダラス・カイケル SP HOU 拒否
柳賢振 SP LAD 受諾→LAD:1年1790万ドル
ヤスマニ・グランダル C LAD 拒否
A.J.ポロック OF ARI 拒否
今季はCBA(コレクティブ・バーゲニング・アグリーメント=労使協定)の改定の年、期限は現地時間12月1日。
QO制度も改訂されるかもしれないが、機構側と選手会の交渉が長引けば最悪の場合、次のシーズンは1994年以来のストライキになる可能性もあり、その場合は当時のように162試合が144試合に短縮される可能性もある。このCBAに関しては後日に取り上げたい。
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MLB.com
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