近代野球、特にメジャーリーグにおいて分業化が進み「ブルペン」の重要性は言うまでもないことだ。そこで今回は、ブルペンのランキングを紹介したいが、いつもとは視点を変えてパフォーマンスの悪かったチームの「ワースト・ランキング」を紹介したい。
防御率でもよかったのだが、チームの勝利にどれだけ貢献したのか、というファングラフスのWAR(fWAR)という指標をもとに最悪だったチームを紹介する。
R NAME fWAR ERA FIP
21位 ヤンキース 0.7 4.51 4.69
22位 メッツ 0.5 4.60 4.74
23位 ナショナルズ 0.5 4.68 4.79
24位 ダイヤモンドバックス -0.2 4.60 4.83
25位 ジャイアンツ -0.6 4.24 4.78
26位 ロッキーズ -0.6 6.77 5.56
27位 レッドソックス -0.6 5.79 4.92
28位 フィリーズ -0.9 7.06 5.56
29位 マーリンズ -1.4 5.50 5.65
30位 マリナーズ -1.4 5.92 5.81
※ERAは防御率。FIP(Fielding Independent Pitching)とは、チームの守備力や運に左右されず、投手の純粋な能力を表すことができる指標。
ちなみに、ブルペンのMLB30チーム中1位はレイズでfWAR3.6、防御率3.37。防御率だけで比べるとドジャースのERA2.74が全体1位だった。
フィリーズの防御率.706はまさに「崩壊」状態だろう。これではマット・クレンタックGMが解任されても仕方がない。
2014年のサンフランシスコ・ジャイアンツ、2015年のカンザスシティ・ロイヤルズのワールドシリーズ制覇は「ブルペン重視」のトレンドを生み出した。その結果、多くの優勝を争うチームが、ブルペンの強化を重視するようになった。
低予算のチームでもブルペンをフル回転させることで、タイトルを獲得できることを証明して見せた。
2013年のレッドソックスも田澤純一や上原浩治が試合の公判を作ってチームを勝利に導いた。考えてみれば2001年のマリナーズもメジャー記録に並ぶシーズン116勝を挙げたが、ジェフ・ネルソンとアーサー・ローズの左右の強力セットアッパーコンビ、クローザーを務めた佐々木主浩らバックエンドの3投手は素晴らしかった。
シーズン40~50本塁打を打つ打者を揃えるよりも1回を無失点で抑えてくれるリリーバーたちの方が、華やかさはないが、コストも抑えられ、勝利に直結しているような気がする。