どのチームも成功するためには信頼できるブルペンの構築は欠かせないだろう。とくに10月を戦う可能性のあるチームにおいては、その重要度は増す。救援投手の質と量が結果を大きく左右することに異論を唱える人はいないはずだ。
そこを強化しないゼネラルマネージャー(GM)は結果にコミットしたことにならない。
フラッグディール・トレード情報
フィリーズの補強状況
7月31日のトレードデッドラインが過ぎたが、10月を戦うチームは、場合によっては複数のピースを追加するなどブルペンをアップグレードする必要がある。
MLB.comの記事によるとアメリカンリーグ、ナショナルリーグの両リーグとも12球団に拡張し、東西2地区に分けて優勝を争うようになった1969年のディビジョン制が始まって以降、防御率4.85を超えるスタッツでプレイオフに進出したチームは5チームしかないらしい。
また、防御率4.55を超えるスタッツでワールドシリーズを制したのは1987年のツインズだけだという。
ここでは、プレイオフの可能性があるチームでブルペンの補強を必要とするチームを見ていきたい。
フィリーズ(NL東部地区3位)
首位ブレーブスとは7ゲーム差に開いたが、ワイルドカード圏内のフィリーズ。リリーバーの防御率はMLB23位。今季25人のリリーバーを起用している。それはドジャースの15人、ヤンキースの18人と比較しても多い。
最終日にそれほど派手な動きはなかったが、左投手のいなかった先発ローテーションにベテラン2名を追加。リリーバーも2名を加えている。
【フィリーズ獲得】
コリー・ディッカーソン外野手 30歳
44試合 打率.315 4本塁打 25打点 1盗塁 OPS.924
ダン・ストレイリー投手 30歳
14試合(8先発) 2勝4敗0セーブ 防御率9.82 33奪三振
ジェイソン・バルガス投手 36歳
ブレイク・パーカー投手 34歳
マイク・モーリン投手 28歳
ジェイソン・バルガスは今季開幕前の2月18日にメッツと2年1600万ドルとインセンティブ最大300万ドルで契約。2020年は800万ドルのクラブオプションでオプトアウトが200万ドル。
今季は先発ローテーションの5番手当たりから実績を積んで18試合の先発登板で6勝5敗、防御4.01、WHIP1.272。キャリア14年で、98勝95敗、防御率4.26。ロイヤルズ時代の17年には18勝(11敗)で最多勝にも輝いた。
ドリュー・スマイリー投手の獲得に続き2人目の左腕をアクティブロスターに加えたことになる。11年以来のポストシーズン進出まで望みをつないでいる。
リリーフ右腕のブレイク・パーカーはエンゼルスで大谷翔平と同僚だったことからなじみが深い投手だが、7年目でキャリア267試合で通算防御率が3.41と安定感がある。金銭トレードでロイヤルズから獲得したマイク・モーリン投手も元はエンゼルス出身。
クローザーのヘクター・ネリスは防御率3.66、19セーブ。17年からクローザーだが、この3年間、72回のセーブ機会で14回もセーブを失敗している。セーブ成功率80・6%はフィリーズの脆さを象徴している数字で、フィリーズのアキレス腱。この部分が結局補強されなかった。