各球団のフロントが考えるスプリングトレーニングの最重要事項は、技術の向上ではなくオフに編成した戦力が、いかにその期待するパフォーマンスを落とすことなく無事にオープニングデーを迎えることができるかだろう。
そのうえで新戦力の力量を見極めて、場合によってはノン・ロスター・インバイティー(NRI)の選手とメジャー契約(40人枠)を結ぶかどうかを考える。
とくに高額を投資している先発投手たちや中心打者のコンディション、モチベーションの管理は最も気を遣うところだ。
ここでは、先発ローテーションにスポットを当てて、予定していた戦力に異変(戦力ダウン)がありそうなチームを紹介したい。
前半戦のペナントレースに影響しそうなのは、アメリカンリーグ東部地区の名門2チーム。ヤンキースとレッドソックスだろう。
ヤンキース
ヤンキースはジェームス・パクストンが2月に腰の手術を受けて開幕は絶望、5月まで欠場すると伝えられているがリハビリ期間を加味するとオールスター前まで長引く可能性がある。ルイス・セベリーノも先週のトミー・ジョン手術によって今シーズンは戦力にならない。
セベリーノは4年4000万ドルで契約後、フルで稼働するシーズンがなく、このまま行けば4年のうち2年半ぐらいは、ほぼタダ働きだ。
昨季18勝、防御率4.03のドミンゴ・ヘルマンも家庭内暴力(DV規定)違反で今季開幕から63試合の出場停止処分。6月初旬まで復帰できない。
ヤンキースは、それでもFAで投手史上最高額となる9年総額3億2400万ドルで獲得したゲリット・コール。今季が契約最終年の田中将大。通算121勝の左腕J.A.ハップの3人がいるのが球界の盟主たるヤンキースの凄いところ。ただ、4番手、5番手の出来次第では、昨年のような前半戦で優位に立つ展開は期待できない。
レッドソックス
もっと痛いのは、覇権の奪還を目指すライバルのレッドソックス。球団の総年俸を「ぜいたく税」のしきい値以下に下げるために、すったもんだした挙句にようやく主力野手ムーキー・ベッツと左腕デービット・プライスをトレードしたが、スプリングトレーニングが始まってエースの左腕クリス・セールに異変が生じている。
レッドソックスのロン・レネキー暫定監督は現地2月27日、インタビューに答え、セールがインフルエンザと肺炎の影響によって調整が遅れていることを明かした。
レネキーのプランでは、先発ローテーション投手は「レギュラーシーズン開幕までに6度の先発登板をこなす必要がある」という方針で、調整の遅れているセールを比較的スケジュールのゆるい4月に無理をさせず、十分な調整を行ってからレギュラーシーズンの登板に臨ませるという方針のようだ。
セールは昨年8月17日に左肘の炎症でIL入りすると、PRP注射による肘の治療で、そのままシーズンを終了しているが、MLB公式サイトによると今回は、その事が原因ではないという報道だ。
セールの調整遅れによりレッドソックスの開幕戦は現時点では昨季19勝のエドゥアルド・ロドリゲスが先発することになる。
【先発ローテーション予想】
クリス・セール
1 エドゥアルド・ロドリゲス 左
2 ネイサン・イオバルディ
3 マーティン・ペレス 左
4 ライアン・ウェバー
5 (オープナー)
その他、レイズやエンゼルスなどでも先発ローテーションに変動があるようなので次回に報告したい。