川﨑宗則レポートPART3
この春、40人枠選手と川﨑、マートン(元阪神)らを含むインバイティ(枠外選手)は23人が登録され、合計63人。若手育成選手を含めると約70人の選手たちがカブスのキャンプに参加している。
ここから開幕までふるいにかけられていく。 その中で具体的に現状の戦力を見てみると、川﨑のライバルは3人。
キャンプ中遊撃の守備練習をしている3人組です。左からネグロン選手、川崎選手、ラッセル選手です。 pic.twitter.com/4Thz9yXHwc
— 菊地 慶剛(靖) (@joshkikuchi) 2016年2月27日
ひとり目は、27歳のトミー ラステラ(Thomas F. La Stella)。 2014年にアトランタ・ブレーブスでデビューし、昨年からカブスの一員になった。
ラステラの魅力はジェド ホイヤーGMいわく、「出塁が多く、三振が少ないこと」で、2014年のメジャー1年目は93試合の出場で出塁率.328(リーグ新人5位)・フォアボール36個(同2位)という高い数字を残した。 カブスのデプスチャートを見るとセカンドとサードの控え。
次は、23歳のハビアー バエズ(Javier Baez)。11年のドラフト1巡目・全体9位でカブスに入団。当時チームのナンバー1プロスペクト(若手有望株)として注目されたプエルトルコ出身選手。
彼は、14年にメジャーデビューを果たし、レギュラー二塁手として期待されたが、最近は少し伸び悩んで控えに甘んじている。
パワーとスピードはあるが、三振が非常に多く、守備に難がある。ここまでがメジャー契約の内野手控え組。
そして3人目が、30歳のクリストファー ネグロン(Kristopher David Negron)。
プロ入り10年のベテランですが、メジャーでの経験はシンシナティ・レッズでの3年間のみ。
川﨑選手と同じマイナー契約でキャンプに参加。ネグロンの武器は内野・外野どちらも守れる点。昨年のレッズでは、キャッチャーをのぞく7つのポジションすべてを守った。(写真下の右)
以上、彼ら3人と川﨑選手は控え内野手の座を争うことになりそう。
最大のライバルは、ラステラ。川﨑選手と同じ左バッターで、出塁率が高く、三振の少ないコンタクトヒッタータイプ。ふたりのスタイルは非常に似ているという。
現地の報道では、「川﨑選手の開幕メジャーはかなり厳しい」と言われている。川﨑に限らずどのチームもインバイティ(枠外選手)が40人枠に食い込むのは余程のラッキーがない限り厳しいのが現状だからだ。
しかしながら、決してチャンスがないわけではないというのは、メジャー通のジャーナリスト。開幕メジャーの可能性を探っていくと、いくつか注目したい点があるという。
25人枠で9月まで140試合ほど戦う過密日程のメジャー。9月になれば40人枠に拡大するが、連戦が続く厳しい日程。
そこでチームに欠かせないのが、どこでも守れるユーティリティ。「バーサティリティ」という表現でアメリカではよく使われるが、「多才」ということ。
マドン監督はいろんなシチュエーションで使うことのできる器用な選手を好む指揮官で、単にどこでも守れるというわけではなく、バッティングや走塁など、バーサティリティの高い川﨑はマドン監督が手元に置いておきたくなるタイプ。
そういえばFAで獲得したベン ゾブリストもそういしたバーサティリティの代表格。
そしてもうひとつは、ムードメイカーとしての川﨑の存在感。
昨年の最優秀監督に選ばれたマドン監督(写真上)は、今年2月で62歳になったが、非常に若々しい人物で、チームの雰囲気を大切にするプレイヤー寄りの監督らしい。
たとえば2008年のレイズ時代、当時在籍していた岩村明憲選手が髪型をソフトモヒカンにしてくると、マドン監督も同じ髪型にしてチーム内の雰囲気を和やかにした。
岩村選手を通して日本人プレイヤーの野球に取り組む姿勢や戦術的理解度、チームに対するロイヤリティの高さなどを身近に感じているはずだ。
指揮官は、昨年のポストシーズンでロースター外ながらチームと帯同を許されてベンチでチームメイトを鼓舞した川﨑の姿を記憶にとどめていたのかもしれない。
川﨑のようなチームを盛り上げるキャラクターは大好きなので、マドン監督も気に入られる可能性が強い。
さっそく、現地3日のオープン戦初戦に川﨑が9番ショートで起用された。
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