Comeback Player of Year awards
ALはペレス捕手、NLはバード投手が受賞
個人的には最も注目の「カムバック賞」をメジャーリーグ機構が発表している。
この賞は、ご存じのようにスランプや故障により苦汁を舐めた選手の劇的な復活劇を称える賞だ。その困難を乗り越えた選手は受賞した本人もうれしいだろうが、MLBファンにも、現在、困難と闘って復活を目指す選手にとっても励みになって心温まる賞だ。
メンタル面で苦しみ約7年、2979日ぶりの勝利を飾った右腕ダニエル・バード
今季はロッキーズの右腕ダニエル・バードとロイヤルズのサルバドール・ペレス捕手が受賞した。
Congratulations to Daniel Bard on being named the 2020 NL Comeback Player of the Year! pic.twitter.com/3ClNEYz31s
— MLB Network (@MLBNetwork) December 10, 2020
35歳のダニエル・バードは、7月25日(日本時間26日)に敵地で行われたレンジャーズ戦に1点をリードした5回途中から先発のグレイのあとを受けて2番手で登板。
野球総合サイト「Full-count」の記事によるとイップスのためにメジャーのマウンドから離れていた右腕にとって、これがレッドソックスに在籍していた2013年4月27日のアストロズ戦以来、7年、2646日ぶりの登板だったという。
この起用にバードは応え、2安打を許したものの、1回1/3を無失点に抑え、実に2012年5月29日のタイガース戦以来、2979日ぶりの勝利を飾った。
2006年のドラフト1巡目(全体28位)でレッドソックスに指名されたバード。09年には順調にメジャーデビューを果たした。11年は、ブルペンの一員として前半戦で25登板連続無失点という当時の球団新記録を樹立した。
ただ、9月以降に制球難に苦しみ0勝4敗、防御率10.64と不振に陥った。翌年も自ら志願して先発に転向したが、深刻な制球難に陥り、マイナーに降格。
13年9月にウェイバー公示を経てシカゴ・カブスへ移籍したが、12月にFAとなった。
その後、レンジャーズ、パイレーツ、カージナルス、メッツと渡り歩き、2018年に一旦は現役を引退。引退後は、ダイヤモンドバックスのメンタルトレーニング部門のスタッフに就任。今年、現役復帰してロッキーズとマイナー契約を結び、7月17日にメジャー契約を結んでいた。最速99マイル(約159キロ)のファストボールを軸に、今季は23試合で4勝2敗、6セーブ、防御率3.65、WHIP1.30。
ストライク率66.6%で、メンタル部分を強化して制球難を克服した。
Congratulations to @SalvadorPerez15 on being named the 2020 AL Comeback Player of the Year! pic.twitter.com/tWuZdUM12c
— MLB Network (@MLBNetwork) December 10, 2020
TJ手術から復活の名捕手サルバドール・ペレス
オールスターゲーム選出6回、ゴールドグラブ賞5回受賞のメジャーを代表する捕手。15年にロッキーズがワールドシリーズを制した時のシリーズMVPだった。
19年3月にトミー・ジョン(TJ)手術を受けたため、そのシーズンは全休。今季は、37試合に出場して打率.333、11本塁打、32打点、OPS.986の好成績を残し、自身3度目のシルバースラッガー賞に輝いた。TJからの復活だった。
ロイヤルズの選手が受賞するのは17年のマイク・ムスターカスに次いでペレスが2人目、ロッキーズの選手による受賞も17年のグレッグ・ホランドに次いで2人目となった。