カルーの記録を超える通算3054安打。全米屈指のベースボールタウンでイチローが球史に残る一打を放った。
マーリンズのイチローは現地6日、カーディナルス戦に「7番ライト」で先発出場し2安打をマーク。メジャー通算3054安打としロッド・カルーを抜いて歴代24位となるとともにパナマ出身のカルーのもつ米国外出身選手の最多通算安打記録を更新した。
初回のレフト前ヒットと合わせて1試合2安打。シアトル凱旋試合で今季1号を放った4月19日のマリナーズ戦以来となるマルチ安打だった。
イチローは歴史を作り続けている。今日の2安打でメジャー通算3054安打とし、ロッド・カルーを抜いて歴代単独24位となり、外国出身選手最多安打となった! https://t.co/P4NO1H6wgF#日本人選手情報 pic.twitter.com/sfQOi4ZFzJ
— MLB Japan (@MLBJapan) 2017年7月7日
試合後のインタビューでは、「誰の記録か、ということが重要」とイチロー。
カルーといえば、1960年代から80年代にかけてツインズとエンゼルスで活躍したレジェンド。伝説の安打製造機。生涯打率.327。首位打者を7回獲得。77年には打率.388、14本塁打、16三塁打、100打点、128得点の成績でMVPにも選出されている。メジャー1年目から18年連続で球宴にも出場した。
イチローも「僕と比較される時にロッド・カルーの名前をよく聞いた」と話す。
イチローが初めてカルーと対面したのは09年5月9日、ミネソタのメトロドームで行われたツインズ戦の試合前。「実際に会った時に言葉はもちろん分からないですが、なんか、こう、あふれる空気が、すごい僕のことを気に掛けている空気がね、伝わってきて」と振り返る。
昨年8月にメジャー通算3000安打を達成した後には手紙ももらっている。
「時間がたつとすごく野球のことが簡単にできると思う人(選手)が多いじゃないですか、でも、そういう中であれだけの成績を残した人が、あの雰囲気でいられるというのは、ちょっと王さんに通じるものが僕の中であって、そういう意味ですごい特別な記録ですね」
「いつも誰かの記録に関わる時は、選手としてすごい人はいっぱいいますけど、時間がたってから『この人すごいな』と思える人はなかなかいないですから。そういう意味でもロッド・カルーというのは僕の中で、アメリカで会った人の中ではそういう(王さんに通じる)印象を強烈に抱いた人。だから、ムキになってそれ(対象選手の記録)に向かっていくという気持ちが起こらない人です」とイチローは語っている。
カージナルスの本拠地、ブッシュスタジアムは15年8月15日にイチローが日米通算安打数でタイ・カッブの記録を超えた場所。あの時と同じ場所で球史に残る一打を記録した。
敵地でありながらスタンディングオベーションで祝福されたあの光景は、ここがベースボールタウンと言われている事が納得できる、野球に対する造詣の深さを感じられる1シーンだった。
また、セントルイス近郊には、イチローが04年に史上最多の262安打を記録した際に抜いたジョージ・シスラーの墓がある。
◇記事参考
https://www.daily.co.jp/mlb/2017/07/07/0010348265.shtml?pu=20170707