MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

今回も難航しそうな2021年のMLB労使協定

さまざまな思惑が入り乱れ、内容も複雑すぎて取り上げたくない話題だが、気になる来季以降のチーム編成にも影響を与え、選手の移籍にも関係してくるので少しだけ紹介したい。

 

MLB機構側と選手会の労使協定(Collective Bargaining Agreement=CBA)の件だ。なるべく詳細は省略して簡潔に伝えたい。

 

CBAの締結が難航すればオフのストーブリーグにも影響

 

現行のCBAは2016年11月30日に基本合意。2021年12月1日(日本時間12月2日)に失効する。正確には米東部時間12月1日の午後11時59分。(これに14時間を足したものが日本の標準時間)

 

 

イムリミットから考えてもCBAが長引けば、毎年12月初旬に開催されるウィンターミーティングも延期され、情報が出にくいテーブルの下での移籍交渉が続くことになる。それどころかFA移籍、ポスティングなどが止まる怖れもある。

 

 

今季ポスティング移籍を狙っている日本人選手にも影響しそうだ。とにかく選手側にもファンとってもスッキリしないオフになることは必至だろう。

 

 

AP通信が伝えたところでは1995年以来、26年ぶり9回目のストライキに入ることが確実になったという。

 

 

これまでのCBAの簡単な歴史

 

1968年2月以降、CBAは4年から5年のスパンで行われ、改訂されてきた。最初の8度のCBAは、「調停権」、「FA権」などで毎回紛争して、その都度、ロックアウトや法廷闘争に発展した。

 

 

訴訟大国で、弁護士があふれるほどいるアメリカらしい。

 

 

1995年のストライキの時は、選手の総年俸に上限を決めるサラリーキャップ制度」の導入を主張してきた機構側(オーナー側)と反対した選手会の対立だった。

 

 

「ぜいたく税」と総年俸

 

今回の焦点は、2003年に始まった「ぜいたく税」制度の改定だ。「ぜいたく税」の詳細は省くが、21年は2億1000万ドルの上限だったが、コロナ禍の減収によりベテラン選手にお金を使わないチームも多く7チームが1億ドル以下という総年俸だった。

 

 

また、「ぜいたく税」がサラリーキャップのようになり、多くの球団が支出を控えたために選手の契約交渉は遅れた。単年契約で不利な条件を受け入れた選手も多かった。

 

 

記事によるとこれまでの交渉で、機構側は「年俸調停」の廃止と「FA取得年」の変更を提案。年俸総額の大きな球団が「ぜいたく税」を払うラインを下げることや球団の年俸総額に最低額を設けることを提案している。

 

 

「ぜいたく税」の上限を1億8000万ドルにして高騰する選手の契約を抑えたいのだろう。その代わりとしてどのチームも最低でも1億ドル以上の総年俸を支出しなければならないという案を出した。

 

 

サラリーキャップ制」につながる懸念も

 

一方で選手会側は、最低額の設定がいわゆる「サラリーキャップ制」の導入につながると懸念している。最低額と引き下げた「ぜいたく税」の上限により、1億ドルから1億8000万ドルという幅で総年俸が決まる制度が、結局は「サラリーキャップ」につながると考えているのかもしれない。

 

 

そのほか、細かい規定の変更は枝葉の議論になるので決まれば紹介したいが、ファンからすればストライキだけは避けて欲しい。