この夏のトレードは2016年に世界一になったカブス、2019年世界一のナショナルズが「売り手」に回ったことで、ワールドシリーズ等で名前を売ったアンソニー・リゾ、クリス・ブライアント、ハビアー・バイエズ、クレイグ・キンブレルなどの選手たちが市場に放出され、西海岸の球団によるマックス・シャーザー争奪戦が伝えられるなど例年になく活況だった。
夏のトレード・デッドラインNOTE、チーム別状況
アメリカン・リーグ 東部地区
東海岸の名門球団が多い東部地区。アレックス・コーラ監督が1年ぶりに指揮官へ復帰したレッドソックスが開幕から好調で首位をキープしていたが、7月後半から8月にかけての4連敗でレイズが僅差の首位。3位のヤンキースにもチャンスが出てきた。
【IN】
カイル・シュワーバー(外野手)
オースティン・デービス(左腕)
ハンセル・ロブレス(右腕)
【OUT】
アルド・ラミレス(右腕/マイナー)
マイケル・チェイビス(内野手)
アレックス・シャーフ(右腕/マイナー)
開幕から正一塁手として起用した2年目のボビー・ダルベック一塁手が前半戦で72試合打率.219、本塁打10、OPS.673、昨年デビューした時ほどの光彩がなく、三振率も40%を超えている。
このため、スラッガーが多い一塁手部門ではMLB最低レベルの数字で、補強するとすればこのポジションだった。カブスの正一塁手アンソニー・リゾと交渉中との噂があったが、ヤンキースがそれを阻止。リゾを獲得した。
結局、ナショナルズからカイル・シュワーバーを獲得したが、彼はハムストリングを痛めて出場していない。今季好調だったロブレスをツインズからアレックス・シャーフとのトレードで獲得してブルペンに厚みを加えた。
■レイズ
スモール・バジェット(低予算)の球団ながら、巧みな補強戦略、オープナーなどの戦術でヤンキースやレッドソックス相手に下位に甘んじていないのが素晴らしい。
【獲得】
ネルソン・クルーズ(指名打者)
カルビン・ファウチャー(右腕/マイナー)
トミー・ハンター(右腕)
マット・ダイアー(捕手/マイナー)
JT・シャギワ(右腕)
オースティン・シェントン(三塁手/マイナー)
ショーン・アームストロング(右腕)
ジョーダン・ループロウ(外野手)
DJ・ジョンソン(右腕)
【放出】
デイビー・グルーロン(捕手)
ジョー・ライアン(右腕/マイナー)
ドリュー・ストロットマン(右腕/マイナー)
リッチ・ヒル(左腕)
ディエゴ・カスティーヨ(右腕)
ペイトン・バッテンフィールド(右腕/マイナー)
クルーズを補強して破壊力をアップさせた。短期決戦では一発の本塁打でゲームの流れが決まることがあるからだ。タイラー・グラスノー投手が60日間の負傷者リストに入った先発陣はコマ不足だが、7月23日時点で、19試合6勝4敗、防御率 3.87と今季好調だった41歳の左腕リッチ・ヒルをメッツに放出した。
60日間ILに入っていたクリス・アーチャーの復帰が近づいているのかもしれない。
先発ローテーションは、下記の5人。
① ライアン・ヤーブロー
② シェーン・マクラナハン
③ マイケル・ワカ
④ ルイス・パティーニョ
⑤ ジョシュ・フレミング
ヤンキースは地区3位に低迷。アーロン・ヒックス外野手は、左手首の腱鞘(けんしょう)断裂の修復手術で今季は絶望的。左打者は、体力の峠を越えた感のあるブレット・ガードナーだけ。
そこで、救援投手のルイス・セッサやジャスティン・ウィルソンをレッズに放出して40人枠を開けてジョーイ・ギャロをレンジャーズから獲得。さらに、カブスの主砲アンソニー・リゾを獲得するという派手な補強を行った。
Anthony Rizzo wasted no time hitting homers for the Yankees 💥
(via @Yankees) pic.twitter.com/tpgX78lvpq
— SportsCenter (@SportsCenter) July 31, 2021
【獲得】
クレイ・ホームズ(右腕)
ジョーイ・ギャロ(外野手)
ジョエリー・ロドリゲス(左腕)
アンドリュー・ヒーニー(左腕)
【放出】
パク・ヒョジュン(内野手)
ルイス・セッサ(右腕)
ジャスティン・ウィルソン(左腕)
イゼキエル・デュラン(二塁手/マイナー)
ジョシュ・スミス(遊撃手/マイナー)
トレバー・ハーバー(二塁手/マイナー)
グレン・オットー(右腕/マイナー)
アレクサンダー・ビスカイーノ(右腕/マイナー)
ケビン・アルカンタラ(外野手/マイナー)
ジャンソン・ジャンク(右腕/マイナー)
エルビス・ペゲーロ(右腕/マイナー)
このブログでも紹介したが、ギャロは左腕ジョエリー・ロドリゲスと共に2対4の大型トレードだった。
リゾもマイナー選手2人との1対2のトレードだった。
現地8月3日終了時点でヤンキースは首位レイズと6ゲーム差。打撃スタッツがチーム打率でMLB25位、OPS同16位の足りない部分を夏の補強で埋めたわけだが、エースのゲリット・コールとジョーダン・モンゴメリーがコロナで出場できないのは痛い。
補強でエンゼルスから獲った左腕アンドリュー・ヒーニーが現地時間8月2日のオリオールズ戦に先発したが4イニングで被安打6、自責点4と結果を出せなかった。
ゲレーロJr.、ボー・ビシェット、マーカス・セミエンが活躍しているにも関わらず4位に低迷しているが、ジョージ・スプリンガーが復帰しているのでオールスターブレイク後に巻き返してくる可能性はある。
先発ローテーションにツインズの右腕べリオス、ブルペンにナショナルズの救援左腕ハンド、ダイヤモンドバックスの救援右腕ソリアを補強した。
【獲得】
ブラッド・ハンド(左腕)
ホアキム・ソリア(右腕)
ホゼ・ベリオス(右腕)
【放出】
ジョエル・パヤンプス(右腕)
T.J.ゾイク(右腕)
ライリー・アダムス(捕手)
オースティン・マーティン(遊撃手/マイナー)
シメオン・ウッズ・リチャードソン(右腕/マイナー)
【獲得】
タイラー・バーチ(右腕/マイナー)
【放出】
ショーン・アームストロング(右腕)
フレディ・ギャルビス(遊撃手)