先日はパドレスのダルビッシュ有が7回途中まで4安打、1失点、12奪三振という快投で3勝目を挙げた。
162試合という長いシーズンで中4日という過酷な登板間隔を強いられるメジャーの先発投手たちだが、当然、球数制限など厳しい管理下におかれ、完投するパターンは、ごく僅かだ。
ボールの種類が変わって今季は投手部門で大きな記録が生まれそうだ
既に開幕から1カ月が経過したが、ノーヒットノーランが2回も達成された。
これは2017年4月に紹介した記事をリライトして再ポストした。
現地時間2017年4月27日、ヤンキースの田中将大投手がメジャー2度目の完封劇をわずか97球で演じた。その年の田中は、開幕からパッとしなかっただけに明るいニュースだった。
ダルビッシュの快投を見たとき、それに関連してこのことを思い出した。メジャーリーグで100球未満の完封は、殿堂入り名投手にちなんで「マダックス」と呼ばれているが、その時、田中は初のマダックスを達成した。
日本人投手は3人しか記録していない、岩隈久志も与四球の少ない投手だったが、記録していない。意外といえば失礼だが、ブルワーズ時代の大家友和が「マダックス」を記録している。
ちなみに「マダックス」の最小(球数)記録は、カブスのジョン・リーバーがが2001年5月のレッズ戦で記録したた時の78球(1安打1四球)。非公式記録は1944年8月のボストン・ブレーブスのチャールズ・バレットによる58球らしい。
MLBの日本人投手100球未満での完封勝利
(2008年7月7日、3-0ブレーブス=9回1安打6三振0四死球)
(2014年4月27日、3-0レッドソックス=9回3安打3三振0四死球)
(2005年6月14日、4-0デビルレイズ=9回9安打6三振1四死球)
大家は1999年、ボストン・レッドソックスでメジャーキャリアをスタートさせた。そして2005年に所属していたモントリオール・エクスポズが、本拠地移転によりワシントン・ナショナルズと名称を変更。開幕から先発で起用されたが、前年までの通算で2.31だった与四球率が5月上旬までで5.70と制球が乱れ先発を外される。
現地時間6月4日のフロリダ・マーリンズ(現マイアミ)戦では降板を要求する監督のフランク・ロビンソンに背を向けたため罰金1000ドルを科せられる。
その影響もあって6月10日にリリースされてミルウォーキー・ブルワーズにトレード移籍。 6月14日のタンパベイ・デビルレイズ戦で移籍後初先発し、自身初の完封勝利を挙げる。
前半戦を5勝4敗、防御率3.62、WHIP1.32で折り返し、9月5日のシンシナティ・レッズ戦で10勝に到達。与四球率も移籍後は1.99と復調した。この年が大家にとっ10勝以上した最後の年になった。
その後、2007年トロント・ブルージェイズで2勝5敗。09年クリーブランド・インディアンスで1勝5敗。この頃にはリリーバーとして起用されることが多くなった。10年にNPBの横浜ベイスターズと契約。独立リーグでも投げた。
41歳ナックルボーラーとして再起をかけた大家は16年10月2日にメジャーリーグの公開トライアウトを受け、12月15日にマイナー契約を結び、AAA級ノーフォーク・タイズに配属された。マイナーキャンプにも参加したが17年3月28日に自由契約となった。
大家友和はメジャー51勝、NPB8勝を記録している。
何か味わい深い侍メジャーリーガーだったが、僅か3人しか記録していない「マダックス」達成者でもある。