すでに複数の報道が伝わっているレッドソックスのムーキー・ベッツ外野手の移籍報道だ。20年シーズン終了後にフリーエージェント(FA)になるベッツだから、今頃から噂が出ても不思議ではないだろう。
The #RedSox are expected to listen to offers for Mookie Betts this winter, according to one MLB insider: https://t.co/0lHv2l0a4t pic.twitter.com/7OGAmWjk4J
— NBC Sports Boston (@NBCSBoston) August 9, 2019
間違いなくこのオフの注目になるだろうが、複数の選手が絡む大型トレードに発展することが予想され、来期の夏のトレードデッドラインまでもつれ込むことも考えられる。
昨年のア・リーグMVPでありフランチャイズの顔のような存在のベッツをなぜ放出するのか?
MLB Networkのジョン・ポール・モロシによるとベッツが契約延長交渉を以前に拒否したことを理由として挙げている。ベッツは17年シーズン終了後にレッドソックスが提示した8年2億ドルという長期の契約延長オファーを拒否している。
それは18年から19年にかけてのトラウト、ハーパー、マチャドといった巨額の契約をみれば、ベッツの代理人を含む周辺が騒がしくなるのはわかる気がする。
ベッツは今季も打率.283、20本塁打、62打点、12盗塁、OPS.882。rWARで4.8という高い数値を残している。そのため自身の評価を知るためにFA市場で価値を知りたくなるのは当然のことかもしれない。
レッドソックスはファーム層が薄い。BPと訳されることが多い野球専門の米シンクタンク「ベースボール・プロスペクタス」やMLB公式サイトのランキング、さらに野球専門のデータサイト「ファングラフス(FG)」のランキングでも100位以内にマイケル・チャビス内野手がランクインしているだけだ。
とくに先発投手を中心に若手の投手が育っていない。また、ブルペンは防御率でMLB14位。クローザーが不在で上原や田澤が在籍していた頃のような安定感がない。このため、ベッツを放出する対価として複数のプロスペクトを要求することは十分に考えられる。
レッドソックスの年俸総額は約2億4050万ドルで基準額の1億9700万ドルをはるかに上回る額で「ぜいたく税」を払っている。ヤンキース、ドジャース、ジャイアンツが回避することに成功したようにレッドソックスもリセットしたいだろう。
ベッツとは今季2000万ドルの契約だが、20年は年俸調停の最終年でロッキーズのノーラン・アレナド(2600万ドル)を超える2600万から3000万ドルぐらいの額が予想される。
20年に確定しているペイロールは、一部を紹介すると
- デビット・プライス 3200万ドル
- クリス・セール 3000万ドル
- JDマルティネス 2375万ドル
- ザンダー・ボガーツ 2000万ドル
- ネイサン・イバルディ 1700万ドル
- ダスティン・ペドロイア 1312万5,000ドル
リック・ポーセロや何人かがFAになり約3000万ドルが軽くなるが、その分、戦力バランスを考えると右腕のいない先発陣に不安も残る。
レッドソックスには「ぜいたく税」の対象外とはいえ2020年も7年総額7250万ドルで契約したキューバ出身のルスネイ・カスティーヨ外野手の約1400万ドルやパブロ・サンドバル内野手の500万ドルなどの不良債権が残っている。
ダスティン・ペドロイア内野手の20年1312万5,000ドル、21年1212万5,000ドルも36歳で60日間の故障者リストに入っていることから考えても不良債権化する可能性もある。
こうした不毛のファーム層の開拓や「ぜいたく税」対策などが絡んで、ムーキー・ベッツのトレード案が持ち上がったと考えるのが大方の見方だ。
いずれにせよベッツの去就が、このオフの話題に一つになりそうだ。
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