MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

デーブ・ロバーツがフェンウェイパークに凱旋!04年の「ザ・スチール」を思い出す

 

資料だけを引っ張り出してきて棒読みするようなメディアが多い。ボストン・レッドソックスロサンゼルス・ドジャースも1916年以来、102年ぶり2回目のワールドシリーズと紹介されているが、1916年は、ドジャースがニューヨークのブルックリン時代。まだ、ドジャースという名前もない。西海岸に本拠地を移す、遥か前の時代の話だ。

 

 

WS2018 

 



NHK大河ドラマの1回目のような説明でこのシリーズを紹介されても興味はわかない。東海岸の名門と西海岸の盟主の世紀の対決だからこそ、メディアは冷静に伝えて欲しい。

 

レッドソックスドジャースは、実質はこれが初対戦というニュアンスの方がリアリティがある。

 

しかし、そんなことは108勝で史上最強といわれているレッドソックスと30年ぶりに世界制覇を目指して戦力を補強してきたドジャースの雌雄を決する一戦の前にどうでもいい事かもしれない。

 

注目したいのは、両チームの若手監督が、二人ともレッドソックスドジャースに所属していた事だろう。

 

レッドソックスのアレックス・コーラ監督は、相手のドジャースの1996年ドラフト3巡目(全体88位)選手。ドジャースで7年、レッドソックスで3年半在籍している。

 

一方、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、印象のあるシーズンを2004年のレッドソックス時代に刻んだ。

 

ドジャースで2年半過ごし、2002年はチーム最多の45盗塁。2003年は2度の故障者リスト入りで試合数が107試合だったが、前年に続き2年連続で40盗塁。野茂英雄と同じチームで日系2世だったので日本のMLBファンにもなじみのある選手だった。

 

04年はシーズン途中の7月31日にレッドソックスへトレードで移籍。忘れられないのは、ポストシーズンでの「ザ・スチール」と語り草になった盗塁だ。

 

 

 

 

あの年、0勝3敗で迎えたヤンキースとのリーグ・チャンピオンシップシリーズ第4戦目でロバーツは、1点ビハインドの9回に代走で登場し、盗塁を決めた。

 

ヤンキースの守護神は3度牽制した。誰もが走ることを予想し、その中で決めた価値ある盗塁だった。その後、タイムリー打で、同点のホームベースを踏んだ。

 

これをきっかけにレッドソックスは息を吹き返し、チームは4連勝でヤンキースを破り、ワールドシリーズでもカージナルスを4連勝で退け86年ぶりのワールドチャンピオンに輝いた。

 

ボストニアンは、あのキッカケとなった盗塁を忘れていなかった。2018年のワールドシリーズ初戦、敵将となってフェンウェイパークにもどった彼をスタンディングオベーションで迎えた。