カブスの右腕ジェーク・アリエッタ投手が現地8月30日のドジャース戦でノーヒットノーランを達成した。12日の岩隈久志(マリナーズ)、21日のマイケル・フィアーズ(アストロズ)に続いて8月だけで3人目、今季通算6人目のノーヒッターとなった。
過去10年で最も多い12年の7度(うち1回は継投)を上回るペースで快挙が続き、様々な専門サイトが、そのファクターを考察しているが、その理由として“カッター”の流行があるという。
「95mph(約152.9km/h)で8インチ(約20.3cm)落ちる」「バットをへし折る電動ノコギリ」ともいわれるカッター(カットボール)を武器にした投手といえばMLB歴代最多の608セーブを記録しているヤンキースのマリアーノ・リベラが有名。
4シーム(直球)の握りを変えて同じリリースポイントで、4シームに近い球速で小さく鋭く変化するため、打者からは見分けがつきにくく、直球と思ってスイングした打者の芯を外してゴロに打ち取る目的で使われることが多い。
ヒジへの負担もスプリットなどに比べると少ないと考えられており、マイナーリーグの育成段階ではスプリットよりカッター習得を勧めるピッチングコーチが多いという記事を読んだことがある。
今季、ここまで大仕事をやってのけた6人ともカッターを武器とする投手というのが、この説の根拠になっているのだが、アリエッタは昨年、米スポーツ専門局ESPNが選ぶ「ベストカッター」の1位に選ばれた。
岩隈や6月20日のパイレーツ戦で達成したナショナルズのマックス・シャーザーは、新たにカッターを球種に加えて投球の幅が広がった。
少ない球数で打ち取れるため、ここ数年はカッターの精度を上げる投手が増えている事は異論の余地が無い。
そういえば私のお気に入りチーム、ボストン・レッドソックスのペドロ・マルティネスもハードカーブが持ち球だったが、カッターで幅を広げた投手の一人と言えるかもしれない。
フィリーズの一員として出場した2009年のワールドシリーズで、ヤンキースの松井秀喜に2試合で2本のホームランを打たれたのが、メジャー最後の登板となった。
日本人にとっても記憶に残る試合だが、マルティネスの名誉のために付け加えると99年のオールスターでマルティネスは、ソーサ、マグワイアを含む4人の打者を連続三振に仕留めている。
彼らステロイドパワーでホームランを量産したマッチョな打者たちと対戦し、バットをへし折ったリベラやマルティネスは、まさに殿堂入りの価値がある選手といえるだろう。
もう一つ数字好きの人に確認してもらいたいが、確かマルティネスの2000年に残した「WHIP」0.737は、メジャー史上でも最高の数値だ。