まずは、開幕まで故障無くマウンドに
黒田がMLBで残した実績に対するリスペクトは、辛口な米メディアの間でも帰国を惜しむ論調が多いことをみてもわかる。
彼が日本への復帰会見で「一言で言うと苦しかったですね。言葉も分からない中、1シーズン162試合をずっと戦い抜く事は、体力的な部分も含めて、7年間は楽しいというよりも、苦しい思いの方が多かったんじゃないかと思います」と語った時も米メディアは、敏感に反応しました。
しかし、その反応は日本での活躍にエールを送る論調が多かった。
黒田博樹のメジャーでの成績は79勝79敗、防御率3.45、FIP3.61。 彼が海を渡った2008年から2014年の7年間において、メジャーの両リーグの中で防御率は14位にランクされ、FIP3.61は両リーグ20位となっています。
この7年間通算の防御率とFIPで黒田博樹を上回る数字を残しているのは、ジャスティン・バーランダー、フェリックス・フェルナンデスなどサイヤング賞クラスのメジャーを代表する投手がずらりと並ぶ。
数字が名選手を作るといわれるメジャーで、類稀な投手だったといえるでしょう。
この“男気”右腕が、オープン戦の初登板で圧巻の投球をしましたが、結果よりも無事ファンの前でお披露目できたことが、この日の一番の成果だったと思います。
というのも黒田と同じ1975年生まれで4月3日に40歳になるレンジャーズの上原浩治が、先日の初登板で、「この時期はマウンドに立てることが幸せ」というコメントを残しました。ダルビッシュにあんな事があったので実感できます。
まだ28歳のダルビッシュなら肘にメスを入れても時間はあります。でも40歳の選手には、何かあれば、即引退を意味します。上原と同じ感覚が黒田にもあったはずです。
広くなったホームが何よりも追い風
今季の黒田のホームは、あの狭かった広島市民球場の両翼94.1メートル、センター115.8メートルに比べ
- 左翼 - 101 m(約331.4 ft)
- 左中間 - 116m(非公称)
- 中堅 - 122 m(約400.3 ft)
- 右中間 - 116m(非公称)
- 右翼 - 100 m(約328.1 ft)
と広くなっています。これは、両翼約95メートルのヤンキースタジアムよりも広く、ベテランには確実に追い風になるでしょう。
黒田が日本のプロ野球で一本立ちした2001年シーズン以降も2002年のようにFIPは2.92とかなり良い投球をしながら、味方の守備に足を引っ張られた結果、防御率が3.67で、勝敗が10勝10敗となってしまったシーズン。
FIPは3.39と平均よりも34%も上回りながらも、同様に味方に足を引っ張られて防御率が4.65となった2004年のようなシーズンもありました。
投手の力量を測る物差しにFIPという数字があります。この指標は味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標ですが、投手がコントロールできると考えられている本塁打、奪三振、与四死球の数字を使って算出していますので、被本塁打数が多くなるとFIPも悪くなります。
そのためFIPが投手の実力を示す指標ではあるものの、その投手の本拠地が本塁打が出やすいか、出やすくないかは少なからぬ影響を与えるということです。
「日本の柔らかいマウンドに対する対応」などは必要なことですが、後がないベテラン右腕にとって新ホームスタジアムは、一番うれしいプレゼントかもしれませんね。
《記事参考》
http://takoyaki7985.blog.fc2.com/blog-entry-1678.html
男の生きざま 39歳黒田が10勝目 被災地広島に送る1勝
http://takoyaki7985.blog.fc2.com/blog-entry-1299.html