MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

労使交渉のタイムリミットは2月末日、それを過ぎると3月31日の開幕戦に影響も

なかなか進展しないメジャーリーグ機構(MLB)とメジャーリーグ選手会(MLBPA)のCBA(包括的労使協定)交渉。

 

今週末に迫ったバッテリー間のスプリングトレーニングの開始もこのままでは延期になることが確実だ。こうなると次は開幕戦が順調に開催されるのか心配だ。

 

ESPN」によると、MLB側は業を煮やしてタイムスケジュールを示した。予定通りにシーズン開幕(3月31日)を迎えるためのデッドラインを現地時間2月28日に定めているという。

 

 

MLB CBA情報

 

5回目の交渉で4つのコアな経済問題について提案したMLBだが、それは多くの部分でMLBPAの要求を満たしていなかった。

 

両者の提案には、依然として隔たりがある事項があり、このままの状況が続くと1995年のような開幕からのストライキやシーズン中のストライキで計713試合が中止になった1981年のような状況になる可能性もでてきた。

 

これまでのロックアウトストライキの状況

 

①1972年⇒ストライキで13日間、計86試合中止

②1973年⇒ロックアウトで17日、試合中止0

③1976年⇒ロックアウトで17日、試合中止0

④1980年⇒ストライキで8日間、試合中止0

⑤1981年⇒ストライキで50日間、計713試合中止

⑥1985年⇒ストライキで2試合、試合中止0

⑦1990年⇒ロックアウトで32日、試合中止0

⑧1994年⇒ストライキで232日間、計938試合中止

⑨2022年⇒ロックアウトが現地12月1日から約2ヵ月半続いている。

 

 

ストライキロックアウトの違い

 

昨年の12月にも紹介したが、自らの要求が受け入れるまで労働組合(MLBPA)が職場放棄するのがストライキで、逆に合意するまで企業(この場合はMLBの各球団)が職場から組合員を閉め出すのがロックアウトになる。ちなみにマイナー選手は選手会には含まれない。

 

上の歴史を観ればロックアウトMLB(オーナー側)、ストライキ選手会が行う手段で、今回を除いて8回行われ、その内訳はストライキが5回で、ロックアウトが3回となっている。

 

 

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■組合を甘く見ているのか!?MLB側のセコい提案

 

残り2週間で多岐にわたる諸事項に合意するには、両者ともかなりの譲歩や場合によっては要求の放棄が必要だろう。

 

「ぜいたく税」の上限などは一部の金満球団だけのことだからMLBPAの要求通りに2億4000万ドル前後を一気に提示したほうが良かったように感じる。

 

労働争議の場合、組合にはストライキ突入という伝家の宝刀がある。それを避けたいのならもっと要求に近い金額を提示しなければならない。

 

MLBPAの2億4500万ドルという要求に近いラインを出せば他の交渉がスムーズにいくというものだ。2億1400万ドルから1年ごとに200万ドル上げていくのは微増にしか見えない。ここまで長引いてるのでMLBPA側もこの程度の微増で「はい、わかりました」とは妥協しないだろう。「馬鹿にするな!」と言いたいはずだ。

 

「最低保証年俸」は、現行(57万500ドル)からMLBPAが要求する77万5000ドルの中間ラインを出してきた。以前の記事で予想したどおりだ。こういうのもせめて要求ラインの1万ドル下ぐらいの金額を提案すればよかったのに、案の定、セコい提案だった。

 

最新のCBA交渉に関してはMNsportsさんが動画で実に見事に分かりやすく整理して紹介されているので、ぜひ見て欲しい。最後に登録されることをお勧めする。

 

 

配信元:MNsportsさん

 

 

選手の肩を持つわけではないが、ケチケチしていればストライキ突入で結局は大きな減収につながることをMLB側は知るべきだ。

 

その代わりサービスタイム3年未満の年俸調停権取得前の選手については、ボーナスプールの枠を1億ドルの要求からもっと譲歩を引き出すとかギブ・アンド・テイクで交渉しなければ進まないだろう。

 

MLB側は40数日間も交渉のテーブルにつかなかった。その経緯にも問題がある。だから、MLB側のこの程度の譲歩案ではMLBPAが納得しない気持ちもよくわかる。

 

オーナー達も人気の低迷からくる観客動員数の長期的減少傾向などは、考慮していないのだろうか。

 

ファンが離れ視聴者が激減すればテレビ局が支払う放映権料にも影響する。プロスポーツメジャーリーグだけではないことを(特にアメリカでは)知るべきだ。

 

選手会ストライキだけは避けて欲しい

 

野球は、コンタクトスポーツであるNFLアメリカンフットボール)の選手達に比べれば、比較的選手生命の長い競技だから、選手達も若いうちから高額を要求しない方が良い。全体のパイが縮小すれば、無い袖はふれないことを早く気付くべきだ。

 

長期契約した選手の最後の数年は不良債権になっているケースもある。年俸と活躍が比例せず、チームから必要とされない哀れな末路を歩む選手もいた。

 

俯瞰してみると結局は経営者と今でも恵まれた生活をしている一部の組合員(選手)たちの金銭を巡るエゴのようなに見えてしまいがっかりする。ファンが離れていったのも分かる気がする。

 

コミッショナーに対するファンや選手会の不信感も伝わり、このままだとコミッショナーはどこかのタイミングでオーナー側からも(責任を取らされて)解雇されるかもしれない。